生物模倣 技術 書籍
 
No.1773
新規事業テーマの探し方、選び方、そして決定の条件
10年後の市場・技術予測とこから読み解く必然の研究開発テーマ

◎ 生物のもつメカニズムには宝の山が眠っている!
      何億年もの変異と淘汰の中で生み出された生物の『優れた仕組みと機能』がブレークスルーを起こす!!

生物模倣技術と新材料・新製品開発への応用

監修 文部科学省 科学研究費新学術領域「生物規範工学」
  高分子学会 バイオミメティクス研究会
  エアロアクアバイオメカニズム学会
発 刊 : 2014年7月31日  体 裁 : A4判 702頁   定 価:99,000円(税込)
※書籍絶版 オンデマンド版 44,000円(税込)   (上製本ではありません)

 
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■ 巻頭言(抜粋) 高 分子学会 バイオミメティクス研究会 下村政嗣

 本書は著者の多くが、文部科学省科学研究費新学術領域「生物規範工学」やエアロ・アクアバイオメカニズム学会、高分子学会バイオミメティクス研究会のメンバーであり、研究分野は自然史学、形態学、発生生物学、生理学、化学、物理学、ナノテクノロジー、材料学、流体力学、機械工学、生産技術、情報科学、環境科学、など多岐にわたった、産学官にいたる多様な陣容である。それゆえに、本書は、我が国のバイオミメティクス研究・開発の現状をあまねく俯瞰することができる。
 永く我が国のバイオミメティクス研究開発の普及書となるべく、総合的な編集を心掛け、国際標準化を含む国際動向の最新事情、我が国の課題である異分野連携、産学連携の最新動向にも言及することができた。
■ 本書のポイント 
新幹線の空気抵抗や騒音の低減は、鳥のくちばしや羽の形状を模倣して実現
数々の世界記録更新に貢献した水着は、サメの肌の特徴を模倣して誕生
生物に学ぶ技術革新はまだまだ起こる!
・生体のもつ精緻な階層構造 高い生体適合性と 力学特性を併せ持つゲル
・森の遮熱、アリ塚のベンチレーション 電源いらずのエアコン
・緑色植物で行われる光合成 臓器を除去しない、副作用が少ないがん治療
・ミミズの蠕動運動 臓器内で引っかからない内視鏡
・バクテリアの鞭毛、魚の尾ひれの動き 電池やケーブルがいらない超小型機械
・イルカの表皮、トンボの羽の表面形状 水や空気の抵抗を低減する表面
・細胞膜の構造と機能 縫合が困難な臓器を修復するフィルム
 
先行メーカーは今,生物からヒントを得てこんな技術開発を目指している!
・摩耗やエネルギーロスの少ない自動車部品 ・自然界に存在する輝きを再現した化粧品
・退色しない意匠性繊維、フィルム ・電化製品の省エネ、軽量、低騒音化
・強力な密着力と剥離性を両立する接着剤 ・生体組織へ高い接着力を発揮する癒着防止材
・雨で汚れが落ちるセルフクリーニング材料 ・性能が低下しない超撥水・防汚表面
・ぶつからない車、渋滞しない車社会  

■ 執筆者(敬称略) 
     長年の研究で明らかにされた『生物のもつ不思議な能力の発現機構』、先行企業による『研究・応用事例』

千歳科学技術大学 下村政嗣 北海道大学 西野浩史
(独)産業技術総合研究所 阿多誠文 (株)豊田中央研究所 石井昌彦
工学院大学 金野祥久 名古屋工業大学 石井大佑
東京理科大学 嶋田友一郎 (株)チノー 石橋政三
東京工業大学 張暁林 東北大学 石田秀輝
北海道大学 長谷山美紀 北里大学 石田斉
(株)LIXIL 井須紀文 日東電工(株) 前野洋平
(独)産業技術総合研究所 稲田孝明 プレシオ国際特許事務所 速水進治
(独)農業生物資源研究所 奥田隆 住友電気工業(株) 村瀬亨
(有)アセニール 横田尚 (独)産業技術総合研究所 大園拓哉
北海道大学 下澤楯夫 奈良県立医科大学 大崎茂芳
大阪大学 加藤直三 シャープ(株) 大塚雅生
トヨタ自動車(株) 海道昌孝 滋賀県立大学 谷本智史
科学技術振興機構 岩堀健治 奈良先端科学技術大学院大学 池田篤志
(独)物質・材料研究機構 菊池正紀 大阪大学 中山喜萬
大阪大学 吉岡伸也 パナソニック(株) 中川徹
京都大学 久保田洋 中央大学 中村太郎
(株)日立製作所 宮内昭浩 岡山理科大学 中谷達行
東北大学 金森義明 日本大学 中里勝芳
千葉大学 桑折道済 慶應義塾大学 朝倉浩一
浜松ホトニクス(株) 原滋郎 (株)富士通総研 長谷川誠
帝人(株) 広瀬治子 東京工業大学 田畑洋
九州大学 高原淳 九州大学 都甲潔
(独)森林総合研究所 高梨琢磨 日本ペイントマリン(株) 島田守
北海道大学 黒川孝幸 京都工芸繊維大学 東善之
慶應義塾大学 今井宏明 早稲田大学 藤枝俊宣
東北大学 昆陽雅司 日産自動車(株) 藤田晋
大阪大学 斎藤彰 龍谷大学 内田欣吾
(独)物質・材料研究機構 細田奈麻絵 東北大学 梅津光央
北海道大学 三友秀之 京都工芸繊維大学 萩原良道
パナソニック(株) 山下一郎 名古屋工業大学 樋口真弘
大阪市立大学 寺北明久 神戸大学 尾崎まみこ
(財)癌研究会 芝清隆 (独)産業技術総合研究所 福田隆史
京都大学 酒井敏 北海道大学 福嶋正巳
大阪府立大学 小西康裕 千歳科学技術大学 平井悠司
日本文理大学 小幡章 帝人(株) 平坂雅男
(独)情報通信研究機構 小林昇平 九州工業大学  平木講儒
兵庫県立大学 松井真二 (独)産業技術総合研究所 穂積篤
東北学院大学 松尾行雄 愛知工業大学 北川一敬
北海道大学 松尾保孝 九州工業大学 本田崇
東京農工大学 新垣篤史 防衛医科大学校 木下学
神戸大学 森垣憲一 北海道大学 野々山貴行
京都大学 森直樹 千葉大学 劉浩
浜松医科大学 針山孝彦 トヨタ自動車(株) 鈴木厚
秋田県立大学 須藤誠一 ポーラ化成工業(株) 鈴木保博
(株)カネカ 瀬崎文康 (独)海上技術安全研究所 平田宏一 

■ 目  次

第1章 生物の歩行、飛翔、遊泳メカニズムとその製品開発への応用

第2章 生物の五感に学ぶ機能とその製品開発への応用

第3章 生物のもつ制御機構、環境適応性の製品開発への応用

第4章 生物に学ぶ物質変換、創・省エネルギー技術

第5章 バイオミネラリゼーションの材料・製品開発への応用

第6章 ソフトマターの生物模倣材料開発への応用

第7章 生物模倣による材料の特性改質、機能性付与

第8章 生物に学ぶ加工技術、生産プロセス

第9章 生物模倣技術に関する研究開発の国際動向と知財・標準化

第10章 生物模倣技術で期待されるイノベーション、ビジネスチャンス


◇ 第1章 生物の歩行、飛翔、遊泳メカニズムとその製品開発への応用 ◇

第1節 生物、自然界にある接着・非着と接合技術
-「接着と分離」を繰り返せる未来の接合技術
1. 昆虫の脚の接着機構
2. 植物の罠
4. 昆虫ミメティクスによる水中接着
5. 落葉型の可逆的接合

第2節 アメンボの水上歩行メカニズムとその工学的応用
-小さな物体の浮かせる「表面張力」の利用
1.アメンボを浮上させる力
2.アメンボの推進特性
3.アメンボに倣ったロボットの可能性
 3.1 ロボットの脚について
 3.2 ロボットの推進性能
 3.3 ロボットの転回性能

第3節 羽ばたき型ヒレの推進メカニズムとその水中ロボットヘの応用
-スクリュープロペラを用いた推進機構では実現できない機能の実現
1. 羽ばたき型ヒレ推進のメカニズム
1.1 羽ばたき型ヒレ推進の動き
1.2 羽ばたき型ヒレ推進する水棲生物
2. 羽ばたき型ヒレ推進を応用した水中ロボット
2.1 単純な機構による羽ばたき型ヒレ推進
2.2 フェザリング運動による羽ばたき型ヒレ推進
2.3 フラッピングとフェザリングを独立して制御する羽ばたき型ヒレ推進
2.4 フラッピングとフェザリングを機構

第4節 ミミズの蠕動運動を規範としたロボット設計と様々な分野への応用
-内視鏡搭載ロボット、人工筋肉、高粘粘度流体の搬送への応用
1. 蠕動運動の特徴
2. ミミズの蠕動運動1)
3. プロットタイプ型蠕動運動ロボットと移動パターン2)3)  
4.蠕動運動型ロボットの応用例4)5)
 4.1 医療分野:大腸内視鏡搭載型ロボット
 4.2 軸方向繊維強化型ゴム人工筋肉
 4.3 大腸内視鏡推進補助ロボット
  4.3.1 ロボットの基本構造
  4.3.2 空気噴射装置
  4.3.3 切り離しデバイス
 4.4 動作実験
  4.4.1 実験システム
  4.4.2 体内モデル実験
  4.4.3 死んだ豚の大腸での実験
 4.2 工業用分野:工業用内視鏡ロボット3)7)
 4.3 宇宙分野:月・惑星地中探査ロボット8)
 4.4 蠕動運動ポンプ9)
  4.4.1 実際の腸管構造の搬送方法
  4.4.2 人工筋肉を用いた蠕動運動ポンプの構造

第5節 トンボの羽の表面形状が生み出す空気の流れとその微風発電風車等への応用
-微風でよく回り、台風にも耐え、かつ低コストな翼
1. トンボの羽の周りの流れ
 1.1 トンボの羽の断面形と空力特性
 1.2 低速流の可視化装置
 1.3 トンボの羽の周りの流れ
 1.4 コルゲート翼周りの流れによる力
2. トンボの羽の空気力学の応用
 2.1 超小型飛翔体への応用
 2.2 微風発電への応用
  2.2.1 トンボの羽の空力特性を風車等の機械に応用することについて
  2.2.2 紙製の風になびく風車
  2.2.3 実用化をイメージしたトンボ風車
  2.2.4 人工筋肉を用いた蠕動運動ポンプの構造

第6節 偏光を用いたサバクアリのナビゲーションメカニズムとロボットへの応用
-GPS用人工衛星のような大型設備を不要とする革新技術
1. 太陽光の散乱と偏光特性
2. サバクアリのナビゲーション
3. 偏光センサ
4. 偏光によるロボットナビゲーション
4.1 オドメトリ
4.2 実験環境と実験方法
5. 偏光と太陽の位置を利用した方位角推定

第7節 鳥の翼運動を模倣したメカニカルシステムの開発
-羽ばたき翼の運動とその空気流動
1. 羽ばたき機の構造
 1.1 翼の構造
 1.2 翼のフラッピングモーション
 1.3 翼のフェザリングモーション
 1.4 翼のリード・ラグモーション
 1.5 水平尾翼
2. 羽ばたき機の性能
 2.1 装置を用いた実験
 2.2 屋外での飛行実験と考察

第8節 コガネムシ科昆虫の羽ばたき飛行の特徴とその産業への応用
-昆虫の表面構造や飛翔形態が教えてくれる効率のよい揚力・推力獲得
1. コガネムシ科昆虫
 1.1 表面観察
 1.2 羽ばたき動作
 1.3 羽ばたき翼周りの流れ場
 1.4 産業応用

第9節 水棲昆虫の遊泳メカニズムとそのマイクロロボットへの応用
-微細毛の構造や動きが推力に及ぼす影響
1. 水棲遊泳微小生物
 1.1 ゲンゴロウ
 1.2 トンボの幼虫
 1.3 その他の遊泳微小生物
2. 水棲遊泳微小生物の遊泳解析実験装置および方法
3. 水棲生物の遊泳解析
 3.1 ゲンゴロウの自由遊泳
 3.2 ゲンゴロウの遊泳メカニズム
 3.3 チビゲンゴロウの遊泳
 3.4 若虫の遊泳
 3.5 コペポーダの遊泳
4. マイクロロボットへの応用
 4.1 マイクロ泳動メカニズムの駆動実験装置系
 4.2 マイクロ泳動メカニズムとその周波数特性
 4.3 ゲンゴロウ型マイクロロボット
 4.4 その他の泳動メカニズム

第10節 生物の動きを模倣したマイクロマシンの設計とその応用
-バッテリーや電源ケーブルを用いないマイクロマシンの実現-

第11節 魚の胸ひれ運動のメカニズムとその水中ロボットへの応用
-スクリュー式推進機の欠点を克服する糸口
1. 胸ひれ運動
 1.1 魚の三次元胸ひれ運動
 1.2 胸ひれまわりの流れ
 1.3 胸ひれまわりの流体力学
2. 胸ひれ運動装置
 2.1 胸ひれ運動装置の流力特性
3. ウミガメの前肢の運動
4. 胸ひれ運動装置付き水中ロボット
5. 胸ひれ運動装置付き水中ロボット"Platypus"の姿勢・誘導制御
6. カメの前肢の運動を模倣した水陸両用ロボット"RT-I"

第12節 モリアオガエルの精子の構造と運動メカニズム
-高粘度環境中で高い運動性能を発揮するには?
1. 特異な形態の精子とその運動
2. 尾の運動と推進力
3. 尾の構造
4. 微小管の滑りから屈曲と伸展へ
5. 固くて強いモリアオガエルの尾の構造
 5.1 2本の軸糸
 5.2 微小管結晶構造
6. モリアオガエルの精子の運動メカニズム
7. アオガエル科精子の構造と運動の進化

第13節 生物の飛翔、遊泳運動の計算力学的解析と原理の解明
-生物のデザイン思想を工業製品の活用するためのヒント
1. 生物の飛翔
2. 生物の遊泳
3. 生物運動のバイオミメティクス

第14節 生体模倣技術応用による家電製品の価値創造
-エアコン室外機、洗濯機、扇風機、掃除機、炊飯器、ドライヤーの高効率化・計量化事例-
1. エアコン室外機に鳥を応用
 1.1 用いた鳥の翼の特徴と効果
 1.2 製品の性能革新
 1.3 性能革新のメカニズム
2. エアコン室内機にトンボを応用
 2.1 用いたトンボの翅の特徴と効果
 2.2 製品の性能革新
 2.3 性能革新のメカニズム
3. 縦型洗濯機にイルカを応用
 3.1 用いたイルカの尾びれ・表皮しわの特徴と効果
 3.2 製品の性能革新
4. 扇風機に蝶を応用
 4.1 用いた蝶の翅の特徴と効果
 4.2 製品の性能革新
5. その他の生体模倣技術の事例紹介
 5.1 ネコ科動物の舌の表面構造応用 サイクロンごみ圧縮ブレード技術
 5.2 ペンギンの翼/円環状魚群応用 炊飯器攪拌ブレード技術
 5.3 鳥(アマツバメ)の翼の平面形応用 ドライヤー用ファン技術
 5.4 ひまわりの種の配列(フィボナッチ)応用 洗濯促進突起技術


◇ 第2章 生物の五感に学ぶ機能とその製品開発への応用 

第1節 アリの匂いセンサーの仕組みに学ぶ
-未来の危機管理センサーはをアリの嗅覚システムによって変わる
1. 匂いの世界
 1.1 オドスケープ
 1.2 単一成分臭と多成分混合臭
 1.3 オドトープの概念
2. 生体センサーの話
 2.1 生体がもつ匂いセンサーの階層構築
 2.2 炭化水素感覚子
 2.3 炭化水素感覚子受容神経の行方
 2.4 炭化水素の化学情報表象としての神経信号
3. 未知との遭遇
 3.1 体表面で静かに動くオドスケープ
 3.2 触角の手入れ
 3.3 触角と体表の接触
4. 敵・味方を識別する感覚子内の受容器周辺事象
 4.1 受容器リンパ環境と受容器周辺タンパク質
 4.2 アリの化学感覚タンパク質(CSP)
5. 敵・味方を識別する感覚子の炭化水素受容
 5.1 炭化水素受容神経と炭化水素受容体タンパク質
 5.2 オドトープを手掛かりにした炭化水素成分受容
6. 嗅覚受容神経の順応
 6.1 ゼロ応答順応と部分順応
 6.2 敵・味方の匂いの差分検出

第2節 ヒトの舌の感覚を模倣した味覚センサの開発
-感覚を鍛え込んだ人による商品設計よりも、さらに精度向上と時間短縮を図る
1. 基本味
2. 味覚センサの構成と原理
3. 味覚センサの基本味応答
4. 食品の味を目で見る
5. 食譜

第3節 ハエトリグモに学ぶ距離測定のメカニズム
-3D画像、3D動画をリアルタイムで取得する機器開発に向けて
1. 動物の距離測定メカニズム
2. 距離を測定できるハエトリグモの目と網膜
3. ピンぼけ像にもとづく距離測定
4. Depth from Defocus (DFD)の生物モデル

第4節 わずかな光を効率良く受けとれるフナムシのもつ眼の構造とその産業応用への可能性
-夜行性生物が暗闇で行動できる秘密
1. 眼−いろいろな眼、節足動物の眼とヒトの眼
2. 節足動物の眼
3. 明暗サイクルに伴うフナムシの視細胞の変化
 3.1 視細胞の日周期変化−ラブドメアの形態変化と視物質量の変化
 3.2 1つの視細胞の受容角度の日周期変化

第5節 ヒトの眼球運動機能とその三次元視覚センサへの応用
-人の生活空間や移動時の安全安心の確保
1. ヒトの眼の機能と三次元視覚センサ
2. 両眼運動機能とその原理
 2.1 両眼協調運動の解析
 2.2 周辺視と中心視の構造
3. アクティブ両眼カメラシステムの優位性
 3.1 高精度3D測定
 3.2 視標の高速切替えとスムーズ追跡
4. 試作機を使用した実験概要
 4.1 フィールド実験
 4.2 フィールド実験の結果
5. 結 言析

第6節 ヒト指の構造、知覚機構とその触感センサへの応用
-家電製品,化粧品,生活用品,自動車など触感がキーとなる製品の開発を助ける
1. ヒト指の構造と知覚機構
 1.1 ヒト指腹部の皮膚構造と触覚受容器
 1.2 皮膚構造と触覚受容器配置の力学的意味
  1.2.1 層構造
  1.2.2 配置位置
  1.2.3 突起形状
2. ヒト指腹部の構造を模倣した触感センサ
 2.1 従来の触感センサ
 2.2 触感因子の選定
 2.3 ヒト模倣型触感センサ
 2.4 触感因子のセンシング手法
  2.4.1 粗さ因子
  2.4.2 摩擦因子
  2.4.3 硬軟因子
 2.5 触感の遠隔伝達システム

第7節 コウモリやイルカのエコーロケーション・メカニズムとその応用技術
-優れた物体の大きさ、厚さ、材質、形状の違いの識別能力
1. コウモリを模倣したエコーロケーション・システム
 1.1 コウモリを模倣したエコーロケーション・システム
  1.1.1 コウモリの聴覚末梢系を模倣した時間周波数解析
  1.1.2 物体の位置定位
 1.2評価実験
2. イルカのエコーロケーション音を模倣した魚群探知システム
 2.1 魚からの反射
 2.2 広帯域スプリットビーム法
 2.3 行動推定と尾数推定

第8節 コオロギの気流センサに学ぶ理想観測器の設計仕様
-MEMS技術を応用した人工センサの作製
1. 感覚細胞の情報伝送性能
 1.1 情報量の測り方
 1.2 感覚細胞は雑音だらけの粗悪品
2. 感覚細胞のエネルギー感度
 2.1 気流感覚毛の機械設計の解析
 2.2 感覚細胞が利用できるエネルギー量
3. 感覚細胞の内部雑音
4. 粗悪品にも使い道はある
5. 情報はタダでは手に入らない
 5.1 マクスウェルの魔物
 5.2 情報(観測)のコスト
6. 情報(観測)論からみた生命の起源と進化
7. MEMS気流センサ

第9節 昆虫の振動情報と受容器に学ぶ
-振動情報を受容する仕組み、その応用の可能性
1. 昆虫の振動情報と受容器
 1.1 受容器
 1.2 振動情報
2. マツノマダラカミキリの振動情報と振動受容器
3. 振動を用いた害虫防除への応用

 


◇ 第3章 生物のもつ制御機構、環境適応性の製品開発への応用 ◇

第1節 生細胞が行う「分子通信」のメカニズムと産業応用への期待
-DDS、環境モニタリングセンサーへの応用の可能性
1. 分子通信研究の概要
 1.1 分子通信
 1.2 分子通信研究の実例
2. 新たな分子通信素子としての「サイボーグ細胞」作製の試み
 2.1 生細胞を用いた分子通信研究の難しさ
 2.2 In vitro/In vivo融合によるサイボーグ細胞の創製
 2.3 人工ビーズを用いたオートファジー誘導法の開発
  2.3.1 生細胞への人工ビーズ導入法
  2.3.2 人工ビーズのエンドソーム脱出
  2.3.3 人工ビーズを用いたオートファジー誘導法の開発
3. 今後の課題
 3.1 生体-非生体ハイブリッド素子の高機能化
 3.2 セル-マシンインタフェース研究
 3.3 細胞生物学的アプローチの重要性

第2節 植物の防御システムを活性化する昆虫由来エリシターとその応用
-安価な害虫制御・植物保護法の実現に向けて
1. 植物の間接防御反応
2. 昆虫の吐き出し液中に含まれるエリシター
3. 昆虫由来エリシターを用いた新しい技術開発

第3節  「魚群の振る舞い」からヒントを得た交通事故ゼロ,渋滞ゼロを目指した自動車の研究開発
-交通事故ゼロ,渋滞ゼロの自動車社会を実現する
1. EPOROの開発コンセプト
2. ベースとなる魚群のルール
3. 生体系での行動ルールの工学応用
 3.1 ハードウェアによる魚の感覚器官の模倣
 3.2 ソフトウェアによる魚群のルールの模倣
 3.3 内部状態の視覚的提示
4. 評価

第4節 不凍タンパク質による氷結晶成長抑制のメカニズムとその応用
-食品、医療、エネルギー産業における応用の可能性
1. 氷結晶成長抑制
 1.1 サーマルヒステリシス
 1.2 氷結晶成長制御
2. 一方向凝固
3. 微細流路内のAFP水溶液流
4. AFPの応用
5. 代替物質

第5節 昆虫(ネムリユスリカ)のもつ乾燥耐性のメカニズムとその産業応用
-既存の冷蔵冷凍保存に置き換わる、エネルギーを必要としない常温保存技術
1. 乾いても死なないネムリユスリカ
2. 乾燥耐性関連因子:トレハロース
3. 乾燥耐性関連因子:LEAタンパク質
4. 常温保存技術の開発
 4.1 有用タンパク質等の常温保存 
 4.2 ネムリユスリカ由来培養細胞の常温保存 
 4.3 ほ乳動物細胞の常温保存の試み
  4.3.1 ヒト血球細胞
  4.3.2 ヒト胎児臍帯血細胞
  4.3.3 ほ乳類由来培養細胞
5. 常温保存技術の一般化の困難性

第6節 クモの糸の紫外線耐性メカニズムとその活用の可能性
-クモの糸はなぜ紫外線に強いのか?その理由を探る
1. 紫外線による人体への影響
2. クモの糸は蚕の絹糸より紫外線に強い!
3. クモの糸は紫外線で強化される?
4. 紫外線強化のメカニズムは?
5. 紫外線耐性は進化の過程で生まれた?
6. 紫外線耐性の活用の可能性

第7節 不凍タンパク質の機能を模倣した合成高分子の応用展開
-蓄熱・熱輸送媒体として期待される氷スラリーの実現を後押しする
1. 不凍タンパク質(AFP)
 1.1 不凍タンパク質(AFP)の種類
 1.2 不凍タンパク質(AFP)の機能
  1.2.1 氷の結晶成長抑制
  1.2.2 氷の核生成抑制
2. 不凍合成高分子(AFSP)
 2.1 氷の結晶成長抑制
 2.2 氷の核生成抑制
3. 不凍タンパク質(AFP)の機能を応用した氷蓄熱の要素技術
 3.1 蓄熱・熱輸送媒体としての氷スラリーの粒径制御
 3.2 過冷却水製造用熱交換器の凍結閉塞防止
 3.3 不凍合成高分子(AFSP)利用技術の展望

第8節 ヒト皮膚の生理機能を模倣した保湿化粧品の開発
-皮膚の持つ保湿・保護機能の再現
1. ヒト皮膚の生理機能
 1.1 スキンケア化粧品の社会的要求
 1.2 化粧品と皮膚生理
 1.3 加齢による皮膚生理の変化
 1.4 表皮の生化学
 1.5 皮膚の新陳代謝
 1.6 生体恒常性維持機能
2. 保湿化粧品の開発
 2.1 ヒト皮膚生理機能を模倣した保湿化粧品の開発
 2.2 生物模倣技術
 2.3 生物模倣技術の可能性と課題

 


◇ 第4章 生物に学ぶ物質変換、創・省エネルギー技術 ◇

第1節 ルテニウム錯体を利用した人工光合成システムの構築
-人間が利用可能な高エネルギー物質を得る
はじめに:金属錯体で創る人工光合成
1. 光増感作用:光電子移動と電荷分離
2. 酸化触媒系:水の酸化による酸素発生
3.還元触媒系:二酸化炭素還元反応

第2節 光合成を模倣したリポソーム光増感剤の構築とそのがん治療への応用
-臓器を除去せず、副作用が少ない夢の治療法の実現に向けて
1. リポソームを可溶化剤としたフラーレン交換法によるフラーレンの水溶化
2. フラーレン含有リポソームのがん細胞に対する光線力学活性
3. 長波長の可視光照射による C60 含有リポソームの光線力学活性の向上

第3節 生体の解毒作用を模倣した触媒による有機汚染物質の無害化
-従来の分解技術の弱点である温度やpHなどの制御が不要になる
1. 鉄ポルフィリン錯体によるハロゲン化フェノールの酸化分解と副生成物の毒性評価
 1.1 ハロゲン化フェノールの酸化分解挙動
  1.1.1 酸化挙動
  1.1.2 酸化生成物
 1.2 毒性評価
2. 自己失活抑制の試み
 2.1 均一触媒系
 2.2 不均一触媒系

第4節 ザゼンソウの発熱機構の制御アルゴリズムを用いた温度調節計の堅牢性向上と省エネ化
-従来用いられるPID制御の弱点を克服する
1. ザゼンソウの熱制御アルゴリズム
 1.1 寒冷地に自生する発熱植物ザゼンソウ
 1.2 発熱のしくみを解析する
 1.3 カオス解析と熱解析
2. 抽出した熱制御アルゴリズム
 2.1 熱制御アルゴリズムのモデリング
 2.2 実用型Z制御器
 2.3 Z制御器を組込んだデジタル指示調節計
3. Z制御アルゴリズムの有効性検証実験
 3.1 インキュベータにおける設定値変更時の有効性
 3.2 インキュベータにおける外乱復帰時の有効性
 3.3 理化学実験用オーブン炉による有効性の確認
4. Z制御の非線形制御系への応用
5. 今後の課題と展望

第5節 森の熱放散・遮熱メカニズムと建築材料への応用
-なぜ森は夏でも涼しいのか?
1. ヒートアイランド現象
2. 大きなものは熱くなる
3. 樹木のフラクタル次元
4. フラクタル日除け
5. 地球の理屈で考える
6. 自然から学ぶべきこと

第6節 シロアリ塚のベンチレーションと住宅の省エネ技術
-家庭やオフィスの冷暖房エネルギー削減法の革新
1. シロアリの巣
2. 土の呼吸メカニズムを利用した自律型調湿タイル
3. ナノ多孔質セラミックス粒子を用いた真空断熱材
 3.1 断熱性能向上のための手法
 3.2 ナノ多孔質セラミックス粒子を用いた真空断熱材
 3.3 真空断熱材の実証試験による省エネ効果の検証


◇ 第5章 バイオミネラリゼーションの材料・製品開発への応用 ◇

第1節 磁性細菌の磁気微粒子形態制御機構の解析と磁性材料合成への応用
-バイオアッセイや物質回収用担体としての応用
1. 磁性細菌における磁気微粒子の合成機構
2. 磁気微粒子の形態制御タンパク質の同定
3. 磁気微粒子形態制御タンパク質の機能解析
4. 形態制御タンパク質を利用した磁気微粒子の化学合成と磁性ナノ材料作製技術への応用
5. 機能性磁気微粒子の作製とバイオアッセイへの応用

第2節 バイオミネラリゼーションによる有機無機複合微粒子の調製
-単純な有機・無機成分のブレンドからは得られない新規機能が生まれる可能性
1. コンセプト
2. 実験方法
 2.1 キトサンコア微粒子の作製
 2.2 炭酸カルシウムとの複合化
3. 結果および考察
 3.1 キトサンコア微粒子の形状
 3.2 キトサン表面での炭酸カルシウム複合化
 3.3 バイオミネラリゼーションによる複合化の進行メカニズム

第3節 バイオミネラルのもつメソクリスタル構造を模倣したリチウムイオン電池材料の作製
-なぜ活物質として高いポテンシャルを持つと考えられるのか?
1. メソクリスタルとは
 1.1 バイオミネラルのナノ構造
 1.2 単結晶と多結晶の中間構造
2. メソクリスタルの合成
 2.1 水溶性高分子の特異吸着
 2.2 ゲルマトリックス中におけ結晶成長
 2.3 固相―固相転移
3. リチウムイオン二次電池活物質へのメソクリスタルの応用
 3.1 電極活物質としてのメソクリスタルのメリット
 3.2 カソード活物質
  3.2.1 マンガン酸リチウム
  3.2.2 コバルト酸リチウム
 3.3 アノード活物質
 3.3.1 SnO
 3.3.2 MnO

第4節 金属イオン還元細菌を用いるバイオミネライゼーションによるレアメタル・貴金属の回収
-希薄な状態で存在するレアメタルを効率良く回収できない従来技術の問題点を解決
1. Shewanella属細菌
2. 白金族金属,金のバイオミネラリゼーション
 2.1 白金族金属イオン,金イオンのバイオ還元・析出
 2.2 貴金属・レアメタル含有溶液の大量処理
 2.3 都市鉱山(使用済み触媒,電子部品)浸出液への応用
 2.4 貴金属ナノ粒子の新規調製法としての展開
3. Shewanella属細菌内包カプセル
4. バイオミネライゼーションを導入した新規リサイクルプロセス

第5節 無機親和性ポリペプチドを利用したハイブリッドナノアセンブリ材料
-異種ナノ材料間を架橋する
1. 無機材料結合性ペプチド
2. 酸化亜鉛結合性ペプチドを用いた酸化亜鉛の室温合成
3. 酸化亜鉛結合性ペプチドを用いた無機ナノ粒子のパターニング基板
4. 無機材料結合性抗体
5. ナノ空間インターフェイス分子の設計と異種材料ハイブリッド
 3.2 円板状粒子(フィラー)

第6節 骨のナノ構造と組成を模倣した人工骨材料の作製
-細胞に材料を骨と錯覚させる
1. 骨の機能とナノ構造
2. リン酸カルシウムとコラーゲンの複合体
3. 物理的化学的生体模倣を実現した水酸アパタイト/コラーゲン骨類似ナノ複合体


◇ 第6章 ソフトマターの生物模倣材料開発への応用 ◇

第1節 生体のもつ精緻な階層構造を模倣したゲルの作成とその人工軟骨、再生医療への応用
-高含水率かつ高強靭 相反する性質を持つゲルの合成
1. DN(ダブルネットワーク)ゲル
 1.1 高強靭DNゲルの創製
 1.2 DNゲルの強靭化メカニズム
2. DNゲルの軟骨分野への応用
 2.1 DNゲルの生体適合性
 2.2 DNゲルの摩擦
 2.3 DNゲルの軟骨再生誘導

第2節 BioLBL法:ナノ粒子のヘテロ多層構造形成法とエレクトロニクス分野への応用
-温和な条件での無機構造体の形成、精緻なナノ構造体の作製
1. ペプチド・アプタマー
 1.1 試験管内進化実験と「アプタマー」
 1.2 チタン結合ペプチド
 1.3 ペプチド・アプタマーの独立性と移植能
 1.4 ペプチド・アプタマーの特異性とオルソゴナルティー
2. バイオミネラリゼーション
3. BioLBL法

第3節 細胞膜の階層構造を模倣した高分子微粒子の設計とその応用
-生体適合性高分子への応用
1. 重合開始基含有高分子微粒子の合成と表面機能化
 1.1 重合開始基を有するコア粒子の合成
 1.2 グラフト重合による高分子微粒子表面の機能化と応用
  1.2.1 有機-無機複合材料への応用
  1.2.2 生化学分野への応用
2. 固体界面への重合開始基薄膜の導入と機能材料への展開
 2.1 接着性高分子ポリドーパミン
 2.2 重合開始基を含む透明ポリドーパミン薄膜の開発
 2.3 階層型薄膜化による高分子ブラシの付与と機能材料への展開

第4節 固体基板表面に形成された人工生体膜の特性と応用展開
-次世代バイオチップへの応用の可能性
1. 人工生体膜
2. 基板表面に形成された人工生体膜
3. ハイブリッド人工生体膜
4. 人工生体膜の応用
 4.1 膜タンパク質を組み込んだバイオセンサー
 4.2 アミロイド線維の観察
 4.3 細胞培養、細胞間相互作用の観察
5. 今後の展開と課題

第5節 ヒトの肌の積層構造とその模倣
-真珠の輝きの秘密
1. 肌(皮膚)の構造と機能
2. 化粧品と皮膚
3. 生物模倣
4. 真珠の輝きの秘密  
5. 層状構造の類似(光学的反射と層構造)
6. 角層構造擬似粉体の開発
7. 角層構造擬似粉体を配合したメークアップ化粧品への応用

 


◇ 第7章 生物模倣による材料の特性改質、機能性付与 ◇

第1節 生物の発色機構と動的に色が変わる構造発色材料への応用
-重金属を含む、褪色するといった色素の弱点を克服する
1. 生物が示す構造色
 1.1 構造色の発色メカニズム
 1.2 生物が示す基本的な構造色
  1.2.1 多層膜干渉
  1.2.2 フォトニック構造体(結晶・アモルファス構造)
  1.2.3 回折格子
  1.2.4 可逆的な色の変化
2. 動的に色を変える構造発色材料
 2.1 多層膜干渉を利用した可逆変色材料
 2.2 フォトニック構造体を利用した可逆変色材料
 2.3 回折格子を利用した可逆変色材料残留水分の経時変化の観察
3.オンライン計測による操業管理

第2節 昆虫の持つ構造色の仕組みとその応用
-非周期な多層膜構造、フォトニック結晶、アモルファス構造に学ぶ-
1. 非周期な多層膜構造を利用する昆虫
2. フォトニック結晶を利用する昆虫
3. アモルファス構造を利用する昆虫

第3節 構造色の制御技術とその光学分野への応用
-構造色利用カラーフィルターの可能性-
1. サブ波長格子による発色の原理
2. 設計
3. 製作
4. 製作結果および光学特性

第4節 モルフォ蝶を模倣した光学干渉繊維・フィルムの開発
-光干渉繊維、フィルムを利用する新しい意匠付与技術
1. 色の認識
2. 自然界の色
3. モルフォ蝶の翅の構造
4. 構造発色のメカニズム
5. 製品の開発
 5.1 光干渉繊維「モルフォテックス」の開発
 5.2 光干渉フィルム「超多層フィルム」の開発
6. 用途開発と今後

第5節 モルフォチョウの発色機構と微細構造性発色材料への応用
-非染色で高意匠な繊維を作成する
1. スルコウスキーモルフォチョウ(♂)翅の発色機構解明と発色構造のモデル化
 1.1 チョウ翅の理化学的分析
 1.2 光学物理的解析と発色形態のモデル設計
 1.3 構造性発色繊維の設計概念
2. 光干渉型構造性発色繊維の成形技術
3. 高意匠性演出への応用

第6節 モルフォ・ブルー再現基板の作製と幅広い応用
-実用化を後押しする生産技術の開発
1. モルフォ蝶型発色
 1.1 発色原理
 1.2 再現による原理実証
2. さまざまな応用へ
3. 生産技術の開発
 3.1 量産技術(複製)
 3.2 量産技術(大面積)
 3.3 基板フリー・粉体化
 3.4 視野角の制御
 3.5 色相制御〜乱雑さによる光設計

第7節 構造色を発現するコロイド結晶膜の作製とその応用
-天然オパールと同様の虹彩色を再現
1. コロイド結晶の一般的な作製法
2. コロイド結晶のスプレー塗装による成膜
 2.1 ポリマー固定化コロイド結晶
 2.2 コロイド溶液の調製
 2.3 基材の前処理
 2.4 スプレー塗装
 2.5 得られたコロイド結晶膜の構造
 2.6 スプレー塗装における課題
3. コロイド結晶の顔料化

第8節 集束イオンビーム立体ナノ構造形成技術によるモルフォ構造の再現
-これまで実現できなかった3次元ナノ構造体を自由自在に造形する
1. 立体ナノ構造形成方法
2. 立体ナノ構造形成過程の動的観察
3. モルフォ蝶りん粉構造の作製と光学的評価
4. まとめ 


第9節 フォトリソグラフ法による構造色を発現する凹凸構造形成とその応用展開
-3次元的な微細加工技術による構造色の表現
1. 構造色
2. フォトリソグラフ法
3. 生物模倣による凹凸構造の作製による構造色(リソグラフ法の活用)
4. リソグラフ法による構造色を有する凹凸構造の応用展開


第10節 ブロック共重合体を用いた構造色材料の作製と応用展開
-ポリマーフィルム状の構造色材料の光学特性-
1. ブロック共重合体のミクロ相分離構造
 1.1 ミクロ相分離構造を用いた構造色材料
 1.2 ミクロ相分離構造のずり流動場による配向制御
2. 構造色材料応用
 2.1 タマムシの構造色認知
3. 多層膜フィルタ(ノッチフィルタ)応用(9)


第11節 フジツボ構造の形成によるプラズモン現象の効率的発生とバイオセンシングへの応用
-一般的な検査法の1000倍以上に相当する検出可能範囲を持つチップの実現
1. 光応答性高分子材料における自発的構造形成(フジツボ構造の形成)
2. フジツボ構造を有する局在プラズモンチップのバイオセンシング性能
3. 局在プラズモンを利用するもう一つのメリット


第12節 生物を模倣した汎用元素を用いた動的撥水/撥油性表面の設計 
-コストの高騰や人体・環境への影響が懸念される従来技術の代替
1. 静的接触角と動的接触角
2. 接触角ヒステリシス制御に基づいた汎用元素による撥水/撥油処理
 2.1 環状シラン単分子膜
 2.2 ポリマーブラシ薄膜
 2.3 有機−無機ハイブリッド皮膜


第13節 プラズマ処理による基材への蓮の葉の構造再現と超撥水性付与
-人工的な超撥水表面の弱点である摩擦や摩耗による性能低下を克服する
1. プラズマとは?
2. プラズマプロセスによる超撥水処理
 2.1 プラズマエッチング
 2.2 プラズマエッチングと表面処理
 2.3 プラズマCVD/重合


第14節 自己組織化を利用した薄膜パターニング技術とバラの花びらのもつ吸着超撥水性の発現
-微少量液滴操作のバイオデバイスや微小反応場への展開
1. 生物が行う液体操作
 1.1 蓮の葉の撥水
 1.2 バラの花びらの吸着超撥水
 1.3 ヤモリの脚の吸着超撥水
2. 自己組織化作製技術により形成されたバイオミメティック表面
 2.1 超撥水凹凸表面
 2.2 吸着性超撥水表面
 2.3 刺激応答性超撥水表面


第15節 ロータス効果による超撥水性の発現メカニズムとその応用展開
-ロータス効果やモスアイ効果をコントロール -
1. フォトクロミック色素を用いた表面の濡れ性の制御
 1.1 これまでのフォトクロミック化合物を用いた表面の濡れ性の光制御
2. ジアリールエテンの光誘起表面形状変化
 2.1 ジアリールエテンの光誘起表面形状変化の発見
 2.2 ジアリールエテンの光誘起表面形状変化によるロータス効果とペタル効果の光制御
 2.3 光誘起エピタキシャル結晶成長
  2.3.1 開環体の柱状結晶が光により成長するジアリールエテン
2.4 光誘起エピタキシャル結晶成長を利用したロータス効果とモスアイ効果の発現


第16節 カタツムリの殻の構造を応用したナノ親水技術と防汚タイルへの応用
-殻表面の構造とその効果
1. カタツムリと住宅
2. カタツムリの防汚技術
3. ナノ親水防汚タイル

第17節 カタツムリや魚の表面をヒントにした防汚性ソフトマテリアルの構築
-多量のエネルギーを必要とする従来の防汚技術からの脱却-
1. 生物に学ぶ濡れ性と防汚性
2. ポリマーブラシを用いた超親水性・防汚性表面
3. 高分子表面へのポリマーブラシ形成による超親水性・防汚性表面の調製
4. イガイの接着成分と親水性ポリマーを利用した魚表面の防汚性の模倣
5. 液体を保持した表面による防汚性

第18節 海洋生物にヒントを得た超低燃費型船底防汚塗料の開発
-高速遊泳能力を持つ海洋生物の体表の秘密-
1. 船体に付着する付着生物の影響
2. 船底防汚塗料開発の歴史
3. 高速遊泳能力を持つ海洋生物に学ぶ
4. 摩擦抵抗を低減する船底防汚塗料の開発
5. 船舶からの炭酸ガス排出抑制への取り組み

第19節 ヤモリの足の接着機構とそれを応用した易解体性粘着テープの設計事例 
-大きな力でくっつき、小さな力ではがれ、かつ繰り返し使える接着テープ-
1. ヤモリの接着機構
 1.1 微細繊維構造の機能
 1.2 微細な繊維先端による接着機構
  1.2.1 破壊力学モデル
  1.2.2 フォース・スケーリングモデル
  1.2.3 接着仕事モデル
2. 人工ヤモリテープ
3. カーボンナノチューブ・ヤモリテープの性質
 3.1 カーボンナノチューブの制御パラメータ
 3.2 カーボンナノチューブの合成
 3.3 ヤモリテープの製作と評価法
 3.4 ヤモリテープの特性
  3.4.1 ナノチューブの層数の効果
  3.4.2 ナノチューブの長さの効果
  3.4.3 ナノチューブ・ヤモリテープの垂直接着力
  3.4.4 ナノチューブ・ヤモリテープと他の接着材との比較
4. ヤモリからさらに学べること
5. ヤモリテープその他の特性
 5.1 粘着力の温度依存性
 5.2 アウトガス             
6. ヤモリテープの産業応用
 6.1 分析用固定部材
 6.2 分析事例
  6.2.1 AFM 原子間力顕微鏡
  6.2.2 TOF-SIMS 飛行時間型二次イオン質量分析装置

第20節 高分子ナノシートの柔軟性と密着性を利用した「ナノ絆創膏」の開発と医療応用
-外科手術の大幅な時間短縮、低侵襲な手術の実現-
1.ナノシートの作製とその物性
 1.1 ナノシートの作製
 1.2 ナノシートの物性
2. ナノシートの創傷被覆材・止血材としての外科手術への応用
 2.1 胸膜欠損の閉鎖修復
 2.2 静脈裂傷の止血修復
3. 機能性ナノシートの開発と先端医療への応用
 3.1 薬物担持ナノシート
 3.2 細胞組織工学のための足場材料
 3.3 バイオデバイスのための人工基底膜

第21節 イルカの表皮にヒントを得た摩擦抵抗低減法とその応用
-遊泳するイルカにかかる力が省エネルギー化のヒントになる-
1. 圧力差の低減
2. 摩擦力の低減
 2.1 イルカの皮膚
 2.2 皮膚の変形
 2.3 柔軟壁の模擬
 2.4 固体波状面
 2.5 有限幅の固体波状面
 2.6 傾斜波状面
 2.7 対称波状面
 2.8 親水性波状面
3. イルカの皮膚を模擬する面の応用


第22節 空気抵抗低減用のサメ肌模倣リブレット表面構造
-サメ肌を飛行機の翼に-
1. ルフトハンザ航空による航空機への利用を目指した試みの報告
2. 開発状況の背景の考察


第23節 バッタの足裏構造の自動車部品の低摩擦化への応用
-部品の摩耗・寿命低下、エネルギーのロスを克服する-
1. 自動車部品の摩擦とバッタの足裏構造の摩擦特性
 1.1 自動車部品における摩擦の問題
 1.2 バッタの足裏の微細構造と摩擦
 1.3 微細構造による摩擦制御表面
  1.3.1 摩擦面の微細構造作製方針
  1.3.2 自己組織化ハニカム状多孔質膜13)
  1.3.2 自己組織化ハニカム状多孔質マスクの作製と金属エッチング
 1.4 加工した鉄表面の表面構造解析と摩擦特性

第24節 バイオミメティックDLCの応用による医療デバイス表面の機能化
-生体適合性と高い耐久性の両立-              
1. 医療用DLCコーティングの冠動脈ステントへの応用
 1.1 高靭性DLCコーティング技術
 1.2 ミニブタを用いた生体内評価(in vivo)
2. 次世代のバイオミメティックDLCの創製技術
 2.1 DLC 膜表面のゼータ電位制御
3. ゼータ電位制御性を有するバイオミメティックDLCのin vitro による生体適合性評価
 3.1 各種DLC 膜の血液適合性評価
 3.2 各種DLC の細胞適合性評価


◇ 第8章 生物に学ぶ加工技術、生産プロセス ◇

第1節 自己組織化ハニカム構造フィルムの形成とバイオミメティクスへの応用
-無反射性、超撥水性の付与とその応用
1, バイオミメティクスがもたらすパラダイムシフト
2. 自己組織化現象とは何か
3. 自己組織化ハニカムフィルム
4. 自己組織化ハニカムフィルムを用いたバイオミメティクス

第2節 自己組織化を利用した可変凹凸表面の作製と応用展開
-新しい光学部材を実現する微細構造の作製技術
1. メカニカルな自己組織化によるリンクル形成
2. 外部応力場によるリンクル構造の可逆的変形制御
3. リンクルの溝への液体の安定化
4. 可変な光拡散状態

第3節 生体模倣技術としての散逸構造の形成
-周期凹凸構造が生み出す高撥水性
1. 散逸構造(平衡から遠く離れた系における自己組織化)とは?
2. 散逸構造の発生メカニズムを説明するBrusselatorモデル
3. 散逸構造としての空間周期構造であるTuringパターン
4. 非平衡場における界面形状ゆらぎの成長によるヴィスコスフィンガリング現象

第4節 自己組織化実装技術
-ノズルを用いた表面実装法の実装速度やコストの問題を解決する
1. 自己組織化原理を用いた実装法の概要
2. 自己組織化原理を用いた印刷法
3. シリコンナノワイヤの配置
 3.1 シリコンナノワイヤについて
 3.2 実験方法
 3.3 NWの配置結果
 3.4 界面エネルギーを用いた解析
4. SiO2板の配置検討
 4.1 実験方法 
 4.2  SiO2板の配置結果
 4.3 界面張力用いた解析
5.まとめと今後の展望

第5節 ナノインプリントによる生物のもつ微細構造の模倣技術
-従来型に比べ優れた性能をもつ反射防止構造や接着表面の形成
1. ナノインプリントで形成される構造
2. 細胞外マトリックス
3. 反射防止
4. 接着
5. 親水・撥水

第6節 バイオテンプレートによるナノマテリアル作製技術と電子デバイス作製
-均一なナノ粒子を溶液中で室温、大気圧の定常条件下で
1. タンパク質とバイオテンプレート
 1.1 バイオテンプレート法のメリット
 1.2 バイオテンプレート法によるナノ粒子作製の歴史
 1.3 フェリチンタンパク質
2. バイオテンプレートによるナノマテリアルの作製
 2.1 酸化物ナノ粒子の作製
 2.2 化合物半導体ナノ粒子の作製
 2.3 小型球殻状タンパク質(LisDps)へのナノ粒子の作製
3. バイオナノマテリアルの応用展開
 3.1 フローティングゲートメモリへの応用
 3.2 ナノエッチングマスクへの応用
 3.3 シリコン薄膜結晶への応用 (MILC) 
 3.4 現在の応用研究

第7節  有機テンプレートを用いた有機無機ナノ複合体の構築
-柔らかくかつ無機としての性質を併せ持つ「ソフトセラミックス」の調製-
1. ペプチド有機テンプレート上におけるリン酸カルシウムの形成機構
2. ペプチドハイドロゲル中におけるリン酸カルシウムのミネラリゼーション ?三次元反応場を利用したソフトセラミックスの創成?
3. ペプチドベースドミネラリゼーションによる二酸化チタンの高度構造制御型合成


◇ 第9章 生物模倣技術に関する研究開発の国際動向と知財・標準化 ◇

第1節 欧州の研究開発動向 
-分野を牽引するドイツ、フランス、英国の産業政策と研究開発状況
1. 欧州における政策と拠点形成
2. ドイツの研究開発
3. フランスの研究開発
4. 英国の研究開発
5. Horizon 2020
6. 欧州の強み

第2節 生物模倣材料・技術のデータで見る研究動向
-分野別みるテーマの傾向と特徴
1. 第7次研究枠組み計画におけるバイオミメティクス関連プロジェクト
 1.1 概観
 1.2 分野別の傾向と特徴
  1.2.1 NMP分野
  1.2.2 ICT分野
  1.2.3 エネルギー分野
  1.2.4 環境分野
  1.2.5 その他の分野
 1.3 金額規模でみる傾向と特徴
 1.4 今後の展望
2. ドイツにおけるバイオミメティクス関連の研究開発プロジェクト
3. 英国におけるバイオミメティクス関連の研究開発プロジェクト
4. フランスにおけるバイオミメティクス関連の研究開発プロジェク

第3節 生体模倣技術に関する特許出願
-注目を集めた生物模倣技術の特許出願例
1. 調査対象,調査方法
 1.1 調査対象およびその技術区分
 1.2 調査方法
2. 特許出願の推移
3. 出願人
 3.1 出願人の国籍比率
 3.2 出願人の機関種別
4. 注目を集めた生体模倣技術の特許出願例
 4.1 「ヤモリの足裏」を模倣した接着材料
 4.2 「カジキの体表面」を模倣した競泳水着
 4.3 「蚊の針形状」を模倣した注射針
 4.4 「蓮の葉」を模倣した超撥水構造
 4.5 「カタツムリの殻」を模倣した汚れ防止技術
 4.6 「イルカ」の生態を模倣した洗濯機
 4.7 「ネコ科動物の舌」を模倣したサイクロン掃除機
 4.8 「蛾の目」の特徴を模倣した反射フィルムの製造技術
 4.9 人工的に合成した「クモの糸」を利用した繊維シート
 4.10 「モルフォ蝶」の特徴を模倣した繊維
 4.11 人間型ロボット「ASIMOR」の基本となった特許出願

第4節 バイオミメティクス国際標準化における各国の動向
-今後、日本はどのように対応すべきなのか?
1. 欧州
 1.1 ドイツ
 1.2 英国
 1.3 フランス
 1.4 オーストリア
 1.5 他の欧州の国々
2. 米国
3. アジア

第5節 バイオミメティクスのデータベース化 
-「気づき」を見出す発想支援型データベース
1. バイオミメティクスのデータベース構築と検索基盤実現
 1.1 バイオミメティクス・データベースと検索基盤の必要性
 1.2 生物多様性に学ぶバイオミメティクス
  1.3 バイオミメティクス・データベース構築のための新たな検索基盤
  1.3.1 発想支援型画像検索
  1.3.2 発想支援型画像検索に基づくバイオミメティクスデータ検索基盤
  1.3.3 バイオミメティクスデータ検索基盤を通した工学的気づきの創出

 


◇ 第10章 生物模倣技術で期待されるイノベーション、ビジネスチャンス ◇

-エネルギー・資源、環境問題に対する革新的な解決-
1. バイオミメティクスの歴史
2. バイオミメティクスの現代的意義
3. バイオミメティクスの国際標準化
4. おわりに 我が国の課題


 

生物模倣 技術 書籍