【講座主旨】
等温滴定型熱量計(ITC)は、分子間結合時に生じる熱量を直接測定することにより、分子間結合の結合比、結合定数、結合時のギブス自由エネルギー変化、エンタルピー変化、エントロピー変化の全てをただ1回の測定で決定でき、分子間結合の仕組みを解明できる有用な装置である。他の装置で解析することが困難である、分子間結合の結合比や、低分子量の分子の結合時の上記のパラメーターなどを、正確に簡便に決定できることが特徴である。本講演では、ITCの測定原理、測定にあたっての注意点、バイオ医薬品(抗体医薬品、核酸医薬品)関連分子(抗体、核酸、核酸結合蛋白質など)の分子間結合に適用した実例などを解説する。
【講演内容】
1.等温滴定型熱量計(ITC)とは
1.1 ITC測定による解析でわかること
1.2 ITC装置の構造と測定原理
1.3 ITC測定に用いるサンプルの調製方法と測定までの手順
1.4 ITC測定時にITC装置に設定するパラメータ
1.5 ITC測定で得られる典型的なプロファイル
2.ITC測定にあたっての注意点
2.1 ITC測定に必要な分子間結合の理論式(完全に理解できなくても大丈夫、2.2のための背景)
2.2 ITC測定で得られる結合定数の信頼度を決めるc値
2.3 c値の最適範囲
2.4 c値が最適範囲より大きい場合の対処方法(Displacement ITC)
2.5 ITC測定に必須である希釈熱の測定
2.6 ITC測定に最適である緩衝液の選択
2.7 ITC測定でしか正確に得られない結合比
3.バイオ医薬品(抗体医薬品、核酸医薬品)関連分子の分子間結合に適用した実例
3.1 抗体に関連したITC測定の実例
3.2 核酸に関連したITC測定の実例
3.3 核酸結合タンパク質に関連したITC測定の実例
4.ITC測定に関連した諸事項
4.1 ITC測定データのデータベース
4.2 ITC測定の基本を学ぶための書籍
4.3 ITC装置を販売している会社の担当者と連絡先、講演者の連絡先
【質疑応答】
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