【講座主旨】
PCR法を用いたDNA増幅におけるさまざまな課題を解決する全く新しいDNA増幅法を紹介する。
我々は大腸菌のゲノムを複製する酵素反応を26種の精製タンパク質を用いて再構成する中で 、複製サイクル再構成系(RCR)を開発した。この系では環状DNAを30oCで保温するだけで、
環状DNA分子の指数的な増幅が達成される。従来のPCRでは増幅困難なメガサイズレベルの長鎖
DNAや、GC含有率の高いDNA、繰り返し配列などの増幅も可能である。本手法を利用した セルフリークローニングや遺伝子診断用途などの展開が期待される。
【講座内容】
【講座内容】
1.従来のDNA増幅法とその課題
1.1大腸菌を用いたDNAクローニングとその課題
1.2PCRを用いたDNA増幅とその課題
1.3ローリングサークル型DNA増幅(RCA)とその課題
2.大腸菌のゲノム複製を完全に再現した複製サイクル再構成系(RCR)
2.1大腸菌のゲノム複製機構
2.2複製サイクル再構成系の特性
2.2.1増幅能力(3時間で数十億倍)
2.2.21分子DNAからの増幅
2.2.3最高性能の増幅正確性
2.2.4GC含有率、AT含有率の高いDNAの増幅
2.2.5繰り返し配列の増幅
2.2.6メガサイズレベルの長鎖DNAの増幅
3. 複製サイクル再構成系(RCR)の利用
3.1リピート病の診断
3.2ヒトゲノムの長鎖DNA領域の
3.2.1環境中の環状DNAの調査・検出
3.2.2セルフリークローニング
・多断片DNA連結法と組み合わせた新しいプラスミド構築法
・大腸菌を使ったDNAクローニングの課題
カルタヘナ法
細胞毒性を持つDNA領域のクローニング
・セルフリーゲノム合成
ウイルスゲノムの人工合成
バクテリアゲノムの人工合成
ゲノム合成とELSI
【質疑応答】
◆講師略歴◆
2008年 ニューカッスル大学(英国)バクテリア細胞生物学センター 研究員
2011年 九州大学薬学研究院 助教 2011年12月 科学技術振興機構
さきがけ研究者
2013年 立教大学 理学部生命理学科 准教授
2018年 オリシロジェノミクス株式会社創業 社外CSO(兼任)
2020年 立教大学 理学部生命理学科 教授
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