【10:30〜13:00】
【第1部】 糖タンパク質上の糖鎖パターン解析方法 -迅速定量から直接解析まで-
北海道大学 先端生命科学研究院 教授 比能 洋 氏
【講座主旨】
糖タンパク質上の糖鎖はタンパク質の翻訳後修飾として付加されます。この糖鎖修飾はタンパク質の翻訳直後の品質管理
から分泌後の代謝経路まで様々な段階でその運命を決定づけるシグナルとして機能しています。また、その生合成経路の
分岐点と終点があいまいであるため、その構造パターンに揺らぎを持っています。この糖鎖構造の揺らぎはその生合成環境を
反映しており、疾患診断やタンパク質製剤の品質管理において重要なバイオマーカーとなります。ここでは、タンパク質上の
糖鎖パターンの迅速解析法を中心として、前処理工程を有する分析技術と、直接解析法まで、その特徴について概説いたします。
【講座内容】
糖質科学概論
1.糖と生命
1.1 エネルギーとしての糖鎖
1.2 糖鎖の代謝
2. タンパク質の生合成と翻訳後修飾
2,1 糖タンパク質の生合成経路
2.2 翻訳後修飾の種類と多様性の意義
3. バイオマーカーとしての糖鎖
3.1 血清型・血液型
3.2 糖鎖抗原と診断
3.3 体内代謝マーカーとしての糖鎖
糖質分析概論
4. 糖鎖分析の化学
4.1 糖の化学
4.2 糖標識の化学
4.3 なぜ標識が必要なのか?
5. 糖鎖の質量分析
5.1 質量分析法の原理と特徴
5.2 糖鎖のイオン化法とその特徴
糖タンパク質分析の最先端
6. 糖タンパク質糖鎖の分析法
6.1 糖タンパク質から糖鎖を切断する方法
6.2 糖タンパク質から糖鎖を切断しない方法
7. タンパク質糖鎖の直接解析
7.1 なぜ糖タンパク質糖鎖の直接解析は難しいのか
7.2 糖鎖イオン化効率の問題と克服に向けた着目点の変換
7.3 タンパク質糖鎖の直接解析技術とその特徴
迅速糖鎖分析技術の未来
【質疑応答】
◆講師略歴◆
H12理化学研究所細胞制御化学研究室 博士研究員
H14日本大学薬学部化学研究室 助手
H15産業技術総合研究所糖鎖工学研究センター
研究職員
H17北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻
助手
H18 北海道大学大学院先端生命科学研究院先端融合科学部門
助教
H22 Visiting Researcher
at Institute of Research for Biomedicine, IRB
Barcelona in Spain
H25 同 准教授
H31北海道大学大学院先端生命科学研究院先端融合科学部門
教授
H31北海道大学先端生命科学研究院付属次世代物質生命科学研究センター副センター長
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