【習得できる知識】
・プラスチックの基本特性である粘弾性挙動が理解できる。
・成形不良の要因となる粘弾性挙動の影響が理解できる。
・粘弾性挙動の時間−温度換算則の基礎が理解できる。
・粘弾性挙動のマスタ−曲線が作成できる。
・マスタ−曲線の各種事象への適用方法が習得できる。
【講座の趣旨】 高分子材料の力と変形の比例定数である材料定数は、時間と温度依存性を有し緩和弾性係数や貯蔵弾性係数と呼ばれ、著しい粘弾性挙動を示す。高分子成形品の成形過程で生ずる残留応力の発生要因や残留応力が時間や温度に伴って変化するつまり経時的な事象は、この粘弾性挙動に起因するところが大である。ここではまず、高分子材料の粘弾性特性の基礎とその解釈法について説明します。次に、残留応力の発生メカニズムを素材の粘弾性挙動と関連付けて説明します。そして、残留応力の経時変化を予測できる時間―温度換算則の概念を説明します。最後に、時間―温度換算則の他事象(例えば繊維強化複合材料の力学的挙動)への活用方法について説明します。
第1部 粘弾性挙動の基礎とその解釈
1.粘弾性挙動とは
2.粘弾性挙動の解釈法と利用方法
3.粘弾性に伴う特異現象(クリープ挙動、緩和挙動)
第2部 粘弾性挙動による残留応力
1.高分子材料の応力−ひずみ関係式
2.残留応力の発生要因の分類
3.冷却過程で生じる残留応力の発生機構
4.硬化過程で生じる残留応力の発生機構
第3部 時間−温度換算則とその解釈
1.時間−温度換算則の基礎概念
2.粘弾性挙動のマスタ−曲線の作成方法
3.時間−温度移動因子 (アーレニュウス型、WLF型)
第4部 粘弾性挙動の時間−温度換算則の活用方法
1.時間−温度換算則を用いた残留応力の開放予測方法
2.時間−温度換算則を用いたクリ−プ変形・応力緩和の予測方法
3.時間−温度換算則を用いたCFRPのひずみ・応力の経時的変化の予測方法
【質疑応答】
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