【講演趣旨】
本講演では、講演者が開発している物質科学におけるデータ同化手法の解説と演習、およ
び実験とシミュレーションの融合に関する研究事例の紹介を行う。最近、データ科学を材料開発に応用
した研究が進んでいるが、特定の材料特性のデータ数はデータ科学を適用するには不十分であることも
多く、少数データを取り扱う方法が必要である。データ同化は少数の実験データにシミュレーション
データを統合することで高精度な予測モデルを得る方法である。さらに、物質科学特有の事情として、
材料特性の制御変数が多次元であり、データの欠測が生じやすいことがある。これらを考慮した物質科
学向けのデータ同化手法を紹介する。
【講演項目】
1.物質科学におけるデータ同化手法の基礎
1.1 多変量Gauss分布モデル
1.2 欠測データと完全尤度
2.永久磁石化合物の有限温度磁化予測モデルの構築
3.Perovskite型水分解光触媒化合物のバンドギャップ狭窄化
3.1 Multi-Layer Perceptronによる表現学習を用いた特徴量生成
4.データ同化を用いたBayes最適化
4.1 Bayesの定理と事後分布
4.2 獲得関数
5.光触媒化合物の焼成プロセスインフォマティクス
5.1 SrTiO3の焼成プロセスに関する特徴量生成
5.2 焼成プロセスのDynamic Monte Carloシミュレーション
5.3 実験・シミュレーション・機械学習の統合による触媒活性予測モデル構築
5.4 高い触媒活性が得られる焼成プロセスの導出
6.演習
6.1 データ同化プログラムCLAUDEのインストール
6.2 入力パラメータの説明
6.3 1次元系でのデモンストレーション
6.4 2次元系でのデモンストレーション
6.5 自由課題
【質疑応答】
※演習では講演者が開発したデータ同化プログラム(CLAUDE)をインストールしていただきます。こちらはPython
(ver.3)で開発されたものです。データ同化プログラムのインストールはセミナー当日に説明しながら行います。基本
的にGoogle Colaboratoryを使ったクラウド上での実施を想定しておりますので、事前に演習に利用可能なGoogleアカ
ウントのご用意をお願いいたします。当日は、こちらで用意したトイデータを使用してデータ同化プログラムをお試し
いただきます。
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