【講座主旨】
医薬品をはじめ食品や化粧品などの化学物質の安定性を予測する場合,アレニウス式を用いた速度論的解析を行うことが一般的であり,この方法論に基づいた安定性予測方法が知られている。
本講演では,化学物質の安定性を予測するために,アレニウス式を用いた速度論的な解析を,どのようにして進めてゆくのかについて,主に医薬品の事例をもとに紹介する。
さらに,アレニウス式を適用する際に留意すべき点や予測値の取扱いについて,実例をもとに説明する。
【講座内容】
1.はじめに
1.1 安定性予測の対象
1.2 安定性試験の意義と安定性予測の目的
1.3 安定性の推定(経験則)
2.反応速度論による安定性予測
2.1 研究の手順
2.2 反応速度に影響を及ぼす因子
2.3 Arrhenius Plotによる安定性予測
2.4 安定性予測の問題点
2.5 速度論的な取扱いでの注意点
2.6 活性化エネルギー測定及びその評価に関する注意点
2.7 分解率を求める際の注意点
2.8 実用速度論
3.熱分析装置を用いた安定性予測方法
3.1 従来の安定性予測方法とその問題点
3.2 熱分析装置を用いた安定性予測のフロー
3.3 実施例
4.まとめ
【質疑応答】
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◆講師略歴◆
(専門分野)
有機化学、品質製造管理 (医薬品/農業化学品)、計測科学、プロジェクトマネジメント、知的財産
(略歴・活動・著書など)
京都大学 大学院 農学研究科 博士課程修了(農学博士)
住友化学株式会社 生物環境科学研究所 研究員、主任研究員、主席研究員
住友化学株式会社 有機合成研究所 チームリーダー(課長)、グループマネジャー(部長)
住友化学株式会社 生物環境科学研究所 グループマネジャー(部長)
住友化学株式会社 先端材料探索研究所 グループマネジャー(部長)
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 プロジェクトマネジャー
大阪市立大学 リサーチ・アドミニストレーター
京都大学 学術研究支援室 特定専門業務職員 (リサーチ・アドミニストレーター)
2020年4月 京都大学 学術研究展開センター 理工系部門 副部門長
住友化学 株式会社 入社。同社の研究開発部門で医薬品 (主として原薬) 、農業化学品、機能性材料ならびに基盤技術開発
(コーポレイト研究) などの研究開発に携わる。
医薬品分野では、特にCMC (Chemical Manufacturing Control)
に従事。IND申請・NDA用安定性試験、新薬の承認申請等を経験。
2020年4月より 京都大学 学術研究展開センター
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