【講座主旨】
バイオ医薬品は治療法が存在しなかった病気や従来の低分子医薬品では高い効果を得られなかった病気の治療に役立つことが多く、製薬業界の国際競争力の強化にもつながる。バイオ医薬品は、低分子医薬品の製造に用いられる単純な化学合成工程に比べて,変化に敏感な生物を用いた製造工程で作られているため、最終産物は、製造工程における様々な因子の影響を受けやすい。また、非常に複雑な製造工程のため、製品の安全性や有効性を常に維持するために、高い精度で製造管理や品質管理を行う必要がある。そのようなバイオ医薬品の製造管理及び品質管理においては、異常やインシデンツが発生した場合に逸脱として処理するかどうかの判断が必要になる。たとえ逸脱処理しないと判断した場合でもリスク評価や記録が必要になる。
本セミナーではいくつかの身近な事例や規制当局の指摘事例をもとに逸脱処理するべきかどうかの判断における留意点をご紹介する。また、逸脱処理フローの中で、原因調査及び根本原因の特定において、原因を安易にヒューマンエラーに帰結しないための留意点、逸脱のリスク分析などの留意点に触れる。さらに特定された根本原因に対する是正予防措置(CAPA)の立案、あるいは原因が特定できない場合のCAPAの立案、更に計画・実施されたCAPAの有効性(実効性)の評価についての留意点もご紹介する。
【講座内容】
・バイオ医薬品とは?
・異常・逸脱・インシデンツとは?
・逸脱
―逸脱とは? 規制における定義
―バイオ医薬品の異常・逸脱・インシデンツ
―規制当局査察における指摘事例
―生物学的製剤の逸脱事例:逸脱レポート
―逸脱処理手順やフローにおける留意点
・是正予防措置
・まとめ
【質疑応答】
------------------------------------------------------
◆講師略歴◆
GMP/GDPコンサルタント
元サノフィ(株) グローバル品質監査部門 アジアパシフィック担当
監査担当部長
大学卒業後、国内メーカーで主として発酵法による原薬の製造に携わる。
その後、サノフィ株式会社の前身であるヘキストジャパン株式会社に入社。
組換え微生物を用いた治験薬の製造を始め、輸入医薬品の検査包装、プロジェクトマネジメント、品質保証を担当。
グローバル品質監査部門の監査員として10年間GMP/GDP監査を経験。
2023年2月末 サノフィ株式会社を退社。
この間、海外製造所との品質取決め書の締結や国内外の外部業者監査及び内部監査を数多く経験した。
2023年 株式会社ヨッシャン 代表取締役
|