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【講座の趣旨】
本講演は、医薬品製造工場および試験室における紙文書・紙記録から完全電子化へ移行するための課題、プロセス、規制要求、データインテグリティ(ALCOA+)の原則、およびAI活用の実務的ポイントを体系的に整理したものである。紙→電子→AIという進化の流れを踏まえ、DX時代に求められるデータ整合性・運用管理・教育の重要性を総合的に解説している。
◆習得できる知識
電子化・ペーパーレス化の移行プロセス, ALCOA+の観点での整理、部分電子化・ハイブリッド運用・完全電子化へ至る過程、CSV/CSAのポイント、国内外規制の要点を整理、静的モデル、決定論的出力の使用を求める、Annex
22などの最新の国際動向
【講座内容】
第1章では、
紙ベース運用の限界を示し、検索性・改ざんリスク・保存性といった課題をALCOA+の観点で整理している。電子化はデータインテグリティ強化のため不可避であり、査察でも紙運用の弱点が頻繁に指摘されている点を示す。
第2章では、
電子化・ペーパーレス化の移行プロセスを、部分電子化・ハイブリッド運用・完全電子化の3段階に分けて解説し、成功・失敗事例を通して、URS要件定義、CSV/CSA、教育訓練が成功の鍵であることを強調している。特に、『なんちゃって電子化』と呼ばれる中途半端な電子化がもたらすリスクと、それでも一定の効果が出る現実的側面の両方に触れている。
第3章では、
21 CFR Part 11、ERES指針、EU GMP Annex 11/15/22、PIC/S
PI-041・PI-011、WHOガイダンスなど、国内外規制の要点を整理し、共通課題としてALCOA+、監査証跡、アクセス管理、教育の重要性を説明している。特にAnnex
22(AI)では、静的モデル・決定論的出力の使用を求める最新の国際動向を取り上げている。
第4章では、
完全電子化システムの運用管理と文書整合性に焦点を当て、電子署名、監査証跡レビュー、変更管理、教育、旧版文書残存リスク等の具体的な査察指摘ポイントを示す。さらに、私物スマホによるMFA問題、システム記述書の必要性など、現場で実際に直面する課題も深掘りしている。
第5章では、
QC領域と製造領域におけるAI活用の実際を紹介し、異常検知、予兆保全、データ解析などの成功例・失敗例を整理したうえで、AIはあくまで支援ツールであり最終判断は人間が担うことを強調している。また、AI規制(Annex
22、FDA AIガイダンス)に基づき、再学習管理・説明可能性・データ品質保証の重要性を示している。
第6章で
全体のまとめと討議ポイントを提示し、紙→電子→AIの不可逆的進展と、組織文化としてのデータインテグリティ定着の重要性を強調する内容となっている。
【質疑応答】
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