|
【本講座で学べること】
・次世代光通信技術の動向
・薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)の特性と利点
・マイクロ転写プリント(μ-TP)技術の基礎とメリット
・高性能ハイブリッド変調器の設計
・デバイス作製・転写プロセス技術の実践的知見
【講座概要】
生成AI技術の急速な進展に伴い、データセンターにおける通信トラフィックは爆発的に増加しており、短距離光トランシーバの伝送容量は現在の800Gから3.2Tクラスへと飛躍的な向上が求められています。これまで、シリコンフォトニクス技術は小型で低コストな光集積回路の実現に大きく貢献してきましたが、従来のシリコン変調器はキャリア分散効果に依存しているため、変調速度(帯域)と効率、そして光損失の間に厳しいトレードオフが存在し、性能の限界が顕在化しつつあります。
この課題を打破する鍵として注目されているのが、薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)の異種材料集積です。TFLNは極めて高い電気光学(ポッケルス)係数を持ち、キャリア吸収がないため、高速かつ低消費電力な光変調器を実現する理想的な材料です。しかし、異なる材料であるTFLNをシリコンフォトニクス基板上へ高密度かつ低コストで実装するには、従来のウエハ接合技術ではチップ面積の無駄や製造プロセスの制約が生じるという課題がありました。
本講座では、この実装課題を解決するブレイクスルーとなる「マイクロ転写プリント(μ-TP)技術」を用いた画期的なアプローチについて詳説します。特に、シリコン導波路との間で光を極めて低損失で受け渡す「層間カプラ構造」の最適設計や、これまで機械的安定性の観点から困難とされていた長尺(最大1.1
cm)のTFLNクーポンを安定してプリントするための独自のプロセス技術について、具体的な実証データとともに解説します。
μ-TP集積型TFLN変調器としては世界最小クラスの駆動電圧(Vπ = 2.7V)や67 GHzを超える超広帯域動作など、実証された最先端のデバイスパフォーマンスを共有することで、次世代の大容量光トランシーバおよび大規模フォトニック集積回路の実現に向けた新たな設計指針と将来の展望を提示します。本講座が、光通信技術のさらなるスケールアップを目指す皆様にとって、次なるイノベーションへのヒントとなることを目的としています。
本講座を通して、光通信のさらなる大容量化に取り組む皆様に、次なる技術革新へと繋がる具体的なブレイクスルーのヒントをご提供できれば幸いです。
1.研究の背景と目的
1.1 データセンター通信の大容量化と次世代光トランシーバへの要求
1.2 シリコンフォトニクス変調器の性能限界と課題
1.3 薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)の優位性:光変調器技術の比較
2.マイクロ転写プリント技術(μ-TP)の特長
2.1 従来の接合技術(CoW/WoW)との比較
2.2 CMOSバックエンド工程との親和性および異種基板への柔軟な集積手法
3.Si/TFLNハイブリッド変調器の設計と作製
3.1 TFLNリブ導波路による強力な光閉じ込めの実現と変調効率の向上
3.2 Si/TFLN層間カプラの設計
4.実験結果およびデバイス性能の評価
4.1 光学的特性
4.2 変調特性
4.3 高速応答特性
5.結論と次世代フォトニック集積への展望
5.1 3.2 Tbit/s 級光トランシーバに向けたμ-TP技術の有用性
5.2 今後の課題:電極の事前集積化およびμ-TPによる大規模並列実装の可能性
【質疑応答】
|