第1節 創薬技術としてのヘテロ2本鎖核酸
1.従来の核酸医薬の現状と問題点
2.第3の核酸医薬・ヘテロ2本鎖核酸
3.ヘテロ2本鎖核酸の作用機序
4.中枢神経系を制御するヘテロ2本鎖核酸開発
5.マイクロRNA(miRNA)制御型ヘテロ核酸の開発
6.DNA/DNA型ヘテロ核酸
7.拡大するヘテロ核酸
第2節 RNAアイソフォームから考えるロングリードシーケンサーの活用
1.生命現象の解明におけるRNAアイソフォームの重要性
1.1 選択的転写開始(Alternative Transcription Initiation:
ATI)
1.2 選択的スプライシング(Alternative Splicing: AS)
1.3 選択的ポリアデニル化(Alternative Polyadenylation:
APA)
2.多型や変異がRNAアイソフォームに及ぼす影響
2.1 バリアントが転写開始に及ぼす影響
2.2 バリアントがスプライシングに及ぼす影響
2.3 バリアントがポリアデニル化に及ぼす影響
3.RNAアイソフォーム情報の応用
3.1 バイオマーカー
3.2 新たな創薬の対象
3.3 AIによる予測・診断ツールの開発
4.ショートリードシーケンサーによるRNA-seqの限界
5.ロングリードシーケンサーによる全長RNA-seq
5.1 PacBioシーケンサー
5.2 ナノポアシーケンサー
5.3 全長RNA-seqの課題
第3節 RNAシーケンスを用いた遺伝子欠損の発見
1.遺伝学的診断
2.RNAシーケンスの方法論
3.RNAシーケンスの対象
4.RNAシーケンスで解析できる異常
4.1 遺伝子発現異常の検出
4.2 スプライシング異常の検出
4.3 モノアレル発現およびアレル不均衡の検出
5.WGS解析との組み合わせによる原因解明
第4節 リプログラミングと細胞分化の過程におけるmRNAの活用
1.様々な細胞へと分化可能なiPS細胞
2.リプログラミングを制御する調整因子とそのモダリティ
3.細胞分化を制御する調整因子とそのモダリティ
4.mRNA医薬品の台頭
5.細胞のリプログラミングにおけるmRNAの応用
6.細胞分化におけるmRNAの応用
7.事業開発パートナー、エリクサジェン・サイエンティフィック社におけるmRNAを活用した創薬支援
第5節 mRNAスプライシング調節化合物
1.スプライソスタチンA
2.プラジエノライド
3.ハーボキシジエン
4.スプライシング阻害剤とスプライソソームとの結合様式
5.イソギンクゲチン
6.TG003
7.クロロヘキシジン
8.スプライシング阻害による細胞機能の変化
8.1 スプライシング阻害と細胞周期停止
8.2 スプライシング阻害と翻訳抑制
第6節 RNAの立体構造と計算化学
1.RNAの立体構造
1.1 RNAの構造の重要性
1.2 RNAの構造の基礎
1.3 様々なRNAの立体構造
2.RNAに対する計算化学
2.1 分子動力学計算を用いたRNAの立体構造解析
2.2 フラグメント分子軌道計算を用いたRNAの分子内相互作用の解析
2.3 計算化学を用いたRNAの立体構造解析に基づく新規RNAの分子設計
第7節 1細胞レベルでの多種多様かつ偏りのないRNAの発現解析の実現
1.既存の1細胞RNAシーケンス(シングルセルRNA-seq)法とその課題
2.“1細胞完全長トータルRNAシーケンス法(RamDA-seqR)”
2.1 特徴
2.2 計測原理
2.3 解析事例
第8節 mRNA可視化プローブの理論
1.プローブデザインの戦略
2.固定細胞におけるRNA標識・可視化法
3.生細胞内のRNA可視化プローブ設計の戦略
4.オリゴ核酸を用いた生細胞内RNAの可視化標識法
4.1 モレキュラービーコン法
4.2 アプタマーを用いた生細胞内RNA標識
5.タンパク質プローブを用いた生細胞内RNAの可視化標識法
5.1 MS2法
5.2 Casタンパク質を用いた標識法
5.3 mPUM法
第9節 独自開発AIによる論文の網羅的・客観的な解析と評価
1.自然言語AIによる論文検索
2.自然言語AIの活用事例
3.論文探索における自然言語AIの活用
4.仮説生成における自然言語AIの有用性
4.1「創薬環境の変化」
4.2「時間的制約」
4.3「情報量の急増」
4.4「研究者の特性」
第10節 エクソン接合部複合体を軸としたmRNA成熟機構の分子生物学的・分子病態学的解析の実際
1.エクソン接合部複合体
2.エクソン接合部複合体と神経原生疾患
3.エクソン接合部複合体とがん
4.エクソン接合部複合体と動脈硬化症
第11節 アンチセンス転写物を標的としたセンスオリゴヌクレオチドの核酸医薬創薬への活用
1.AS転写物について
1.1 AS転写物の構造
1.2 mRNA?AS転写物間の相互作用とmRNAの安定性
2.AS転写物を標的とした遺伝子の発現制御技術(NATRE技術)
2.1 センスオリゴヌクレオチドを用いた、AS転写物を標的とした遺伝子の発現制御
2.2 センスオリゴヌクレオチドの設計について
2.3 他方式の核酸医薬との比較
3.ラット肝不全敗血症モデルへNATRE技術の応用とiNOSセンスオリゴヌクレオチドの開発
3.1 iNOSセンスオリゴヌクレオチドによるラット初代培養肝培養細胞におけるiNOS
mRNAの発現制御
3.2 肝不全敗血症ラットモデルへのiNOSセンスオリゴヌクレオチドSO1の効果検討
4.展望
第12節 リポソームによる体内・細胞内動態の制御について
1.リポプレックスによる核酸分子の細胞内導入
2.リポプレックスによるin vivo遺伝子導入とイオン化脂質によるLNPの肝臓標的化
3.LNPによるmRAN送達とワクチン開発への応用
4.EPR効果を介した血中滞留性リポソームによる腫瘍への薬物送達
5.がん組織への核酸送達の課題:PEGのジレンマ
6.PEGのジレンマ解決戦略
6.1 細胞内取込み向上
6.2 エンドソーム脱出促進
第13節 タンパク質をモジュールとするmRNA翻訳制御システムの構築
1.基本的な構成モジュールとなるタンパク質
1.1 制御対象のmRNAに直接結合する
1.2 制御対象のmRNAの分解を促進する
1.3 制御対象のmRNAの翻訳を活性化する
1.4 他のタンパク質モジュールの分解を促進する
1.5 他のタンパク質モジュールを切断する
1.6 複数のタンパク質モジュールを一つのmRNAから個別のタンパク質として発現させる
1.7 他のタンパク質モジュールを互いに結合させる
2.翻訳制御のタイプ
2.1 外部からの刺激による人為的な翻訳制御
2.2 生体・細胞内環境に応じた自律的な制御
3.RNAモチーフとタンパク質モジュールの改善法
3.1 RNAモチーフの改善
3.2 タンパク質モジュールの改善
4.翻訳制御システム設計にあたっての注意点や今後の課題
14節 mRNAを製造するための原料: 細胞内環境応答性脂質ナノ粒子によるDDS効果の向上
1.細胞内環境応答性を有するpH感受性脂質の開発
1.1 第三級アミン(pH感受性ユニット)を有する脂質材料の開発
1.2 エステル結合を有する脂質材料の開発
1.2 ジスルフィド結合を有するpH感受性脂質
2.現在のmRNA-LNP研究とその課題
2.1 pH感受性脂質の開発
2.2 ヘルパー脂質の探索
2.3 コレステロールの改変
2.4 ステロイド系抗炎症薬の脂質誘導体の導入
15節 真核生物mRNA合成酵素RNAポリメラーゼ U (Pol U)
1.mRNA生合成過程
2.mRNA生合成酵素RNAポリメラーゼIIの構造
3.CTDの特徴と機能
4.Pol IIによる転写サイクル
4.1 転写開始
4.2 転写伸長
4.3 転写終結
5.CTDリン酸化サイクル
6.転写と共役したmRNA成熟過程
16節 mRNA精製用のバッファ&カラム
1.mRNAのためのHPLC
2.mRNAのHPLC精製に最適なバッファー
3.本研究で取り上げたHPLC精製用カラム&バッファー
17節 機械哺乳動物細胞におけるmRNA分解機構
1.細胞質mRNA分解の概略
2.RNAの安定性を規定するRNA側因子
2.1 “ 5‘CAP構造 ”
2.2 ポリA長
2.3 RNA修飾
2.4 コドン最適性
2.5 環状化RNA
2.6 RNA高次構造
3.RNAの安定性を規定する分子
3.1 RNA結合タンパク質
3.2 miRNA
4.外来RNAの認識とRNA分解
18節 リボソームの機能不全と細胞内での検出
1.細胞では常に翻訳装置により大規模な品質管理が行われている
2.リボソームの品質管理 NRD
3.18S NRDとno-go mRNA decayの相似点
4.細胞は18S NRDとno-go mRNA decayを厳密に識別する
5.25S NRDとメカニズム |