【講座の趣旨】
微生物はその力を有効に利用できれば食品、医薬品、化成品、エネルギー等の多くの分野に恩恵を与えてくれますが、間違った使い方をすれば食中毒、毒素生産や環境汚染等の望ましくない作用をもたらすことになります。微生物を使いこなすためには生物学的並びに工学的な知見に基づいたプロセス管理が重要であり、本セミナーではミクロとマクロの観点から発酵及びダウンストリーム工程開発の進め方と管理について説明します。
【習得できる知識】
・ミクロな微生物反応の理解
・微生物育種並びに維持管理
・マクロの観点で見たプロセスの設計と管理
・スケールアップと実用化までの重要ポイント
【受講対象】
・発酵に興味がある技術者・管理者
・発酵プロセス管理を担当する工場技術者
・発酵プロセスの設計・改善を行う技術者
1.発酵プロセスの成り立ち
1-1 生体反応とエネルギー(解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、ATP、光合成)
1-2 エネルギー源(糖、脂肪酸、蛋白質、光、その他)
1-3 窒素源(アンモニア、尿素、ペプトン、蛋白質)
1-4 その他の栄養素(ビタミン、ミネラル、エキス類、農産物残渣)
2.各種発酵プロセスと培養管理
2-1 発酵プロセスの例(有機酸、アミノ酸、油脂、化成品、ガス発酵等)
2-2 培養管理の実態(培地殺菌、植菌量、菌体濃度、残糖、pH、DO、プロダクト類)
3.後処理工程と製品化
3-1 菌体回収または除菌(遠心分離、膜分離)
3-2 抽出、濃縮および精製(細胞破砕、抽出、分画、濃縮、クロマト分離)
3-3 乾燥と製品化(噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥、ドラム乾燥等)
4.有用微生物の選別と育種
4-1 微生物の選別(スクリーニング、生物多様性条約、菌株保存施設)
4-2 優良株の育種(突然変異、交雑、遺伝子導入、代謝工学、カルタヘナ法)
4-3 有用微生物の維持管理(マスター/ワーキングセルバンク、植継ぎ管理)
4-4 特許管理(国内出願、国際出願、微生物の寄託、権利の維持)
4-5 自社株の特定と盗難・漏出対策(ゲノム解析とマルチローカス遺伝子)
5.スケールアップ
5-1 培養のスケール(フラスコ、ジャー、大型タンク)
5-2 溶存酸素の制御(通気量、撹拌速度、DO管理)
5-3 回分培養、流加培養、連続培養(培養速度論等)
5-4 スケールアップにおける指標と注意点
5-5 スケールアップの実例
6.プロセス開発の進め方
6-1 テーマの選定
6-2 ラボレベルでの検討
6-3 パイロットスケールでの実証
6-4 プロセス設計と事業提案
6-5 設備導入、工場稼働
【質疑応答】
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