【習得できる知識】
・全固体電池・固体電池の各部材・材料の研究開発の現状と将来像
・次世代電池の将来展望と今後の開発のための指針
・全固体電池の実用化へ向けて解決すべき課題 など
【講座の趣旨】
脱炭素社会実現が国際社会のキーワードで、その実現のためには従来の化石燃料中心の社会からの構造変革が求められています。化石燃料発電から太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーへの大幅な転換、EV等の自動車の電動化の推進等です。電池はそれを実現するためのキー技術の一つです。その中心をなすリチウムイオン電池の性能向上と共に、更なる高性能化へのニーズに応えるべく新しい電池の開発が求められています。電池のエネルギー密度をより高く、より大きな入出力特性、低温から高温までの広い範囲の温度特性、より長い寿命特性、より高い安全性等を兼ね備える電池です。これらを実現するため、ポストリチウムイオン電池として種々の電池候補が提案されています。
その中でも全固体電池は上記の要求事項を高い次元でクリアできる可能性を秘めた電池として、現在国内外において精力的に研究開発が行われています。実用化への動きも加速しており、日立造船(株)は5Ahの硫化物系全固体電池を発表し、マクセル(株)も民生用の硫化物系全固体電池を製品化しています。電動車用途として、トヨタ自動車(株)は全固体電池を搭載したEVを2027年から2028年に市販、日産自動車(株)も2028年までに全固体電池を搭載したEVを発売すると発表しています。また海外でも相次いで固体電池搭載のEVが発表されています。例えば、上海蔚来汽車(NIO)が半固体電池を搭載したEVを2022年に発売、あるいはフォルクスワーゲンは米国のクアンタムスケープと共同開発中で2025年をめどに量産に入ると報道されています。
本講演では、固体電池の開発現況、現状の課題、今後の見通しに関しましてお話しさせて頂きます。
1.序論
1.1 背景
1.2 固体電解質開発史
1.3 完成形の全固体電池
2.固体電池の分類と定義
3.全固体電池の課題
4.全固体電池の研究開発
4.1 硫黄系固体電解質
(1)硫化物系全固体電池の課題抽出
(2)正極材料開発
(3)正極材料被覆技術開発
(4)次世代正負極高容量材料開発現況
4.2 酸化物系固体電解質
4.3 ハロゲン系固体電解質
4.4 有機固体電解質
5.全固体電池の製造プロセス
6.半固体電池の研究開発
7.その他(全樹脂電池)の研究開発
8.今後の課題と展望
【質疑応答】
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