【講座主旨】
いまラボで分析法を使っている方も、これから使おうとしている方も分析法が「使える」状態になるまではいくつかの手順が必要なことはご存じでしょう。今手元にあるサンプルをまさに分析しようとしているとき、誰かがあなたの肩をポンポンとたたき「その分析法大丈夫ですか?」と聞かれたとしましょう。分析法バリデーションはその問に答えるための手段なのです。
分析バリデーションが特に重要視されるのは医薬品の承認申請時です。承認申請書にはICH Q2ガイドラインに従って行われた分析バリデーション結果を必ず付けますが、分析法バリデーション(ICH
Q2)ガイドラインは、1996年に作成されてから長く使用されてきました。初版作成から四半世紀経ち、このほど改訂されることになりました。改訂に当たっては、基本的な薬事的部分は変更のないものの、多変量解析を用いた分析法を追加するなど、これまでガイドラインに無かった最新の分析技術を取り入れた内容に改訂される予定です。また、Q2改訂と併行して分析法の開発とライフサイクルに関する新たなガイドラインがICH
Q14として登場します。
本セミナーでは、改訂前から続く分析能パラメーターについて基本的な解説を行うと共に、分析能評価のための統計学的な背景について、統計学の基礎の部分からQ2に新たに取り入れられた多変量解析を応用したNIR(近赤外スペクトル)によるPATの分析法を含めた部分までを詳しく解説します。また、Q2改訂、Q14新設による分析法バリデーションの今後の薬事的な動向について解説したいと思います。
【講座内容】
1.分析バリデーションとは
1.1 分析法バリデーションの目的
1.2 分析法バリデーションの適用と種類
1.3 押さえておきたい公的文書
2.分析能パラメーター
2.1 真度(Accuracy)
2.2 精度(Precision)
2.3 特異性・選択性(Specificity・Selectivity)
2.4 報告値範囲(Reportable Range)
2.5 稼動範囲(Working Range)
3.分析バリデーションの統計学的アプローチ
3.1 統計学の基本的解説
3.2 分散分析と精度評価
3.3 多変量解析を応用した分析法
4.これからの分析法バリデーション
4.1 ICH Q2ガイドライン改訂に伴う主な変更点
4.2 分析法のリスクマネジメント
4.3 ライフサイクルマネジメント
【質疑応答】
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≪講師プロフィール≫
専門分野:
レギュラトリーサイエンス、分析化学、薬剤学、薬物動態学
略歴・活動など:
1980年 東北大学大学院薬学研究科修士課程卒
1980年 国立衛生試験所(現 国立医薬品食品衛生研究所) 薬品部
2011年 薬品部 第三室長
2015年 薬品部 主任研究官(再任用)
2015年-2020年(一財)医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 参事
2023年-現在 国立医薬品食品衛生研究所 客員研究員
その他
星薬科大学 非常勤講師、PMDA 専門委員(品質分野)、バイオアナリシスフォーラム(JBF)副代表、
日本PDA評議員、日本薬局方原案検討委員会委員(2023年3月まで)
著書:
「ゼロから学ぶ 分析法バリデーション」2023年8月, じほう (東京)
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