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<10:00〜11:10>
1.5G/6G時代の高周波配線基板に向けた低誘電損失材料に対する要求特性、開発動向と開発事例に見る材料設計・材料技術
川辺高分子研究所 川辺 正直 氏
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【講演ポイント】
第5世代 (5G) の情報通信技術では、大容量化、高速伝送化、高速処理化などの要求がさらに高度化してきている。信号の高周波数化によってプリント配線板の伝送損失も大きくなり、これによってプリント配線板の発熱や信号の減衰、遅延といった問題が生じる。5Gの情報通信機器ではGHz領域での伝送損失を低減することが求められるが、
このような高周波の領域では誘電損失の寄与が大きく、絶縁材料として誘電損失の低い低誘電損失材料が必要とされている。
本講演では、高周波用基板をめぐる技術動向、そしてそれに伴う高周波対応の基板材料に求められる特性と材料設計、また、高周波用基板材料の評価技術について学ぶ。
さらに、今後の新しい基板材料に関する技術開発動向及び開発事例について解説する。
【プログラム】
1.プリント基板の高周波対応をめぐる技術動向
1.1 5G通信システムの進化を支える電子機器の処理能力の向上
1.2 データ伝送速度の向上とプリント配線板高速化の課題
2.プリント基板の構造の基礎と機能
3.高周波基板材料に対する要求特性、評価技術と材料設計
3.1 高速・高周波基板用材料に対する要求特性と技術トレンド
3.2 高周波基板用材料の評価技術
3.3 信号劣化の要因と誘電特性(誘電率、誘電正接)
3.4 低誘電損失材料の材料設計
3.5 次世代通信インフラ向け基板材料の用途、要求特性
4.高周波基板用部材及び材料の特性とその進歩
4.1 低損失基板を構成するガラスクロスの特性とその進歩
4.2 低損失基板を構成する銅箔の特性とその進歩
4.3 低損失基板を構成するフィラー他の特性とその進歩
5.低誘電材料の特性とその進歩
5.1 熱硬化性PPE樹脂
5.2 シクロオレフィンポリマー系樹脂
5.3 液状ジエン系樹脂
5.4 ポリオレフィン系樹脂
6.低誘電材料の開発事例とその実際技術
6.1 メタロセン触媒を使用した精密配位アニオン重合技術の開発
6.2 精密カチオン重合による可溶性硬化型分岐ポリマーの合成
6.3 可溶性硬化型分岐ポリマーによる高周波基板向け低誘電材料の材料設計・開発
6.4 精密アニオン重合による末端官能基を有する分岐ポリマーの合成
6.5 高速・高周波基板向け硬化型低誘電損失接着性材料の開発
7.まとめ
【質疑応答】
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<11:20〜12:30>
2.低誘電・高接着ポリイミド樹脂の開発と低伝送損失基板への適用、今後の展望
荒川化学工業(株) 田ア 崇司 氏
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【講演ポイント】
当社が開発したポリイミド樹脂は低誘電特性,高接着を特徴としており,高周波基板向け素材として有用であると考えられる。
今回,技術の概要と,当材料を使用したフレキシブル基板の伝送損失評価や、半導体後工程向けへの展開等について説明する。
【プログラム】
1.開発背景
1.1 プリント基板の技術トレンド(高周波対応)
1.2 伝送損失とその改良方針について
1.3 プリント基板材料(硬化性材料)の主要成分について
2.ポリマー設計
2.1 ポリイミドについて
2.2 ポリマー設計方針(加工性改良)
2.3 ポリマー設計方針(低誘電化)
3.新規ポリイミド樹脂「PIAD」
3.1 製品概要
3.2 樹脂特性
4.新規ポリイミド樹脂「PIAD」応用例
4.1 低誘電カバーレイ,ボンディングシート
4.2 低伝送損失FCCL
4.3 半導体後工程用再配線層向け材料
【質疑応答】
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<13:20〜14:30>
3.接着性フッ素樹脂、低誘電シリカフィラーの開発動向と高速高周波用プリント基板材料への応用
AGC(株) 森野 正行 氏
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【講演ポイント】
プリント基板用の材料選択において、高周波信号の伝送損失が小さい低損失材料が注目を浴びている。
その中でもフッ素系材料、特にフッ素樹脂は、比誘電率と誘電正接が小さい材料として知られている。しかし従来のフッ素樹脂は不活性な性質により、他材料との接着・分散などの複合化が困難であり、回路基板としては一部の用途への適用に限られていた。
また回路基板の電気特性、機械特性を調整するために様々なフィラー材料が用いられるが、電気信号の高周波化が進む現在、低誘電性と機械強度を兼ね備え、さらに配合時に良好な分散性を有するフィラー材料が求められている。
このような状況下、AGCでは独自のフッ素樹脂設計技術により、接着性や分散性を有するフッ素樹脂、<Fluon+TM
EA-2000>と、独自のシリカ設計技術により低誘電かつ高強度な<低誘電シリカフィラー>を開発した。これら材料を他の回路基板材料と多様な形で複合化することにより、フッ素樹脂・低誘電シリカの電気特性と他材料の機械特性を補い合い、高周波信号伝送に適した基板材料の実現が可能となる。
本講座では、まず5G/6G回路基板材料の要求性能について述べた後、AGCのFluon+TM
EA-2000および低誘電シリカフィラーの高周波回路基板への適用法とその性能について詳述する。
【プログラム】
1.高速通信の要求機能と、部品材料への期待
2.接着性フッ素樹脂<Fluon+TM EA-2000>のご紹介
2.1 EA-2000の基本特性
2.2 高速通信に求められる低損失材料構成、FPCへのアプリケーション例
2.3 リジッドPCBへのアプリケーション例
2.4 伝送損失評価・シミュレーション結果
3.<低誘電シリカフィラー>のご紹介
4.総括・今後の展望
【質疑応答】
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<14:40〜15:50>
4.5G/6G通信市場に貢献する新規マレイミド樹脂の開発
日本化薬(株) 長谷川 篤彦 氏
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【講演ポイント】
情報爆発と言われる昨今の通信量増大に伴い、半導体向け材料開発はその中核技術を担っていると言える。当社は半導体封止材、基板分野を中心に様々な硬化性樹脂を展開しており、市場に先駆けて高機能なマレイミド樹脂を市場投入してきた。
マレイミド樹脂の性能を引き出すためには実用可能な温度領域で成型できることが必要であり、最適な触媒の選定、低温硬化に有利な組成開発が重要。また、次世代のマレイミド樹脂の設計に当たっては使用条件/期間で物性の変化無き事が求められることから、耐酸化/耐吸水性を向上する構造設計も併せて重要となる。
低誘電市場への投入を想定の上、どのように材料の化学構造を選定し、組成を決めていくのか、当社の検討に関して紹介する。
【プログラム】
1.低誘電市場においてマレイミド樹脂が要望される背景
2.マレイミドの反応性/より低温での硬化検討 ? 組成物化
2.1 マレイミド樹脂の触媒スクリーニング
2.2 マレイミド樹脂とエポキシ樹脂の組成化検討
2.3 マレイミド樹脂とシアネート樹脂の組成化検討
3.低誘電構造設計
3.1 置換基による効果
3.2 主鎖構造による効果
4.低誘電市場への組成提案
4.1 マレイミド樹脂とポリフェニレンエーテルの組成検討
【質疑応答】
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<16:00〜17:10>
5.PTFEと低CTEポリイミドの直接接着法および低伝送損失基板の開発
東洋紡(株) 土屋 俊之 氏
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【講演ポイント】
本講演では、高速通信に必要な低伝送損失基板開発における、高耐熱低CTEポリイミドフィルムの活用方法について、低CTEポリイミドフィルムの基本特性、用途事例、低伝送損基板の設計思想および、フッ素樹脂との複合低伝送損失基板の開発、PTFEとの直接接着法の開発状況ついてご紹介します。
【プログラム】
1.イントロダクション
2.高耐熱低CTEポリイミドフィルムXENOMAXR
2.1 基本特性
2.2 応用事例紹介
3.低CTEポリイミドフィルムを用いた低伝送損失基板の開発
3.1 高速高周波通信用材料に求められる特性
3.2 フッ素樹脂との複合化による低伝送損失かつ低CTE基板の開発
3.3 PTFEとの低CTEポリイミドフィルムとの直接接着法の開発
4.まとめ
【質疑応答】
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