【講演ポイント】
「世界初の味覚センサ技術による食品業界のイノベーション」で、2023年2月に九州大学高等研究院の都甲潔特別主幹教授と演者は経済産業大臣賞(技術経営・イノベーション大賞)を受賞した。ひとえに食品や医薬品のプロフェッショナルである味覚センサのユーザーのお陰である。味覚センサのユーザーにセンサ開発の方向性を教えて頂き、一緒に研究開発を行って頂き、また、ビジネス活用を教えて頂いた。味覚センサの技術的進歩と美味しさの見える化の要望により、納入実績は述べ700台を突破した。研究機関のみならず食品メーカー、医薬品メーカー及び流通小売に導入され、ビジネス活用されるようになってきた。風味は、味覚だけでなく、臭覚、触覚や視覚の総合的な感覚であるが、風味の一部の味覚だけでも見える化によりビジネスに役に立つことわかった。官能検査は非常に重要であり、食の多様化にともない、ますます官能検査が大変になってきている。味覚センサはその官能の精度を上げるためのツールである。味覚センサのデータとPOSデータ、価格や地域差のデータを組合すことで、多様な美味しさを見える化でき、美味しさの感受性が違う人々をつなぐ可能性を示す。
人類史上初の2つのことが起きている。1つは、世界中が豊かになってきている点である。もう1つは、世界中が少子高齢化社会になってきている点である。これは全く新しいニーズであり、食品業界にとってもチャンスである。ただし、国によって美味しさの感じ方が大きく異なるため、お互いが相手の味を理解することは難しい。そこで、多様な美味しさの見える化により、食品の市場調査、設計および品質管理に役に立つ。
【プログラム】
1.食品業界の潮流
1.1 なぜ、味覚センサが今必要とされているのか?
2.味の見える化技術
2.1 味覚センサの原理
2.2 味の数値化
2.3 コク、キレ
3.美味しさの見る化とビジネス活用例
3.1 多様な美味しさの見える化(地域差、年齢差、トレンド、価格差)
3.2 コンセプトの明確化
3.3 美味しくてコストがかからない食品の最適設計
3.4 体によくて美味しい食品の設計
3.5 美味しさのプロモーション
3.6 製品の美味しさを保つ品質管理と品質保証
4.今後の展望
【質疑応答】
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