【講座の趣旨】
腐食は,装置・機器の寿命を縮めるだけでなく,予期せぬ不具合・破損とそれに伴う運転停止,爆発,有害物の飛散などにより甚大な経済的損失及び人的被害をもたらすことがあります。腐食を防ぐことは,産業・社会の安全・安心を確保する上で大変重要です。
腐食への影響因子は様々ですが,ポンプ,バルブ,配管など,流体を扱う機器・構造物では,流体の挙動が腐食に与える影響は極めて大きく,その挙動を把握し,適切な対策を講じることが重要な課題となっています。流速が上昇すると一般的に腐食が増大します。また,流れのせん断力や振動など機械的作用が腐食の作用に重畳すると,エロージョン・コロージョンと呼ばれる現象が発生し,短時間で大きな損傷を起こすことがあります。
本講義では,腐食の基礎を分かり易く説明したあと,腐食に及ぼす流速の影響について実際のデータを示しながら解説します。次に,流体の機械的作用で生じるキャビテーション・エロージョンや,腐食に機械的作用が重畳する現象であるエロージョン・コロージョン,およびFAC(Flow
Accelerated Corrosion)と,これらの対策について解説します。
【習得できる知識】
・腐食(コロージョン)のしくみと,腐食に及ぼす流れの作用について基礎から学ぶことができる。
・ポンプ,バルブ,配管などで起こる様々なエロージョン,キャビテーション,エロージョン・コロージョンなど,
腐食に及ぼす流れの機械的作用と対策について基礎から学ぶことができる。
【セミナープログラム】
1.腐食(コロージョン)の基礎と腐食に及ぼす流れの作用
1.1 水溶液中における金属の腐食反応
1.2 皮膜の保護性と耐食性
1.3 均一腐食と局部腐食
1.4 各種環境因子の影響
(塩化物イオン,温度,pH,その他)
1.5 腐食に及ぼす流れの影響
・流れの影響のメカニズム
・鋼,鋳鉄,ステンレス鋼,銅合金の腐食に及ぼす流速の影響
1.6 まとめ
2.エロージョン,エロージョン・コロージョン
2.1 エロージョンの基礎
2.2 キャビテーションとは,粒子・液滴衝突とは,
2.3 エロージョン・コロージョン
2.4 Flow Accelerated Corrosion (FAC)
2.5 エロージョン対策
2.6 まとめ
【質疑応答】
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