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【9:50〜11:40】
第1部 高分子の分子運動と伸長流動−せん断流動と伸長流動の比較−
●講師 千葉大学 名誉教授 工学博士 大坪 泰文 氏
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【講座の趣旨】
高分子は,単純化するとひものように長い分子であり, この鎖状分子の運動に起因して顕著な粘弾性挙動を示します。
伸長流動を解析するためには,粘性だけではなく弾性効果も考慮する必要があります。 せん断流動場と伸長流動場における粘弾性挙動の違いを分子間相互作用と関連づけて解説します。
【セミナープログラム】
1.粘弾性の基礎
1.1 せん断変形と伸長変形
1.2 せん断流動と伸長流動
1.3 非ニュートン流動(擬塑性流動,ダイラタント流動)
1.4 弾性と粘性の物理的意味
1.5 動的粘弾性
1.6 動的粘弾性関数の周波数依存性
2.高分子の分子運動と基本的なレオロジー挙動
2.1 高分子のガラス転移とミクロブラウン運動
2.2 時間―温度換算則
2.3 シフトファクターの温度依存性
2.4 高分子の粘弾性曲線と分子量との関係
3.伸長流動の解析法と高分子の伸長流動
3.1 非定常流動場における伸長流動の解析と弾性効果
3.2 伸長流動と紡糸性
3.3 高分子の緩和時間とエントロピー弾性
3.4 高分子における伸長流動の分子構造的支配因子
3.5 伸長流動が関わるプロセスへの展開
(1)法線応力と精密成形
(2)ジェットインクの糸引き性
(3)エアレススプレーにおける二次元伸長流動
(4)絹の紡糸と結晶化
【質疑応答】
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【11:50〜13:00】
第2部 伸長流動装置による機能性樹脂の高品質化
●講師 (株)ケンシュー 代表取締役 工学博士 倉地 育夫 氏
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【講座の趣旨】
材料のプロセシング技術について,50年前は化学工学の分野で扱われ,主に設備装置の設計が中心だった。しかし,1980年代に起きた材料科学のイノベーションである日本発のセラミックスフィーバーはやがて米国を刺激しクリントン大統領令によるナノテクノロジーへ発展し,プロセシング技術が注目されるようになった。一方で,ゴム業界では1980年以前から混練プロセスにおけるロール混練技術について,その技能の重要性が注目されており,カオス混合という伝説の混練技術が知られていた。
ところで,1980年代には,高分子材料の混練技術は,分散混合と分配混合の視点から検討され,二軸混練機のスクリュー開発などに応用され自動混練機のイノベーションが起きるが,ウトラッキーによる伸長流動装置(EFM)の発明により,剪断流動と伸長流動の機能が注目されるようになった。
本セミナーでは,生産性に問題があったEFMを見直し,伸長流動装置の発展型として開発された簡易カオス混合装置について,主にその性能について事例をもとに解説する。
【セミナープログラム】
1.高分子材料のプロセシング
1.1 成形体とコンパウンドの関係
1.2 高分子材料の混練技術
1.3 二軸混練機の問題
2.簡易カオス混合装置
2.1 カオス混合について
2.1.1 伸長流動とカオス混合
2.1.2 伝説の混練技術
2.2 開発の経緯
2.2.1 成形技術に対する誤解
2.2.2 トランスサイエンス
2.2.3 コンパウンド設計に対する疑問
2.2.4 コンピューターサイエンス
2.2.5 カオス混合プラント
3.応用事例
3.1 再生材の品質向上事例
3.1.1 PETボトルリサイクル材の射出成型性改良
3.1.2 再生材の強度改善事例
3.2 パーコレーション転移制御事例
3.3 PPSオリゴマー添加剤による流動性改善
【質疑応答】
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【13:40〜14:50】
第3部 各種プラスチック成形分野における伸長流動データの活用
●講師 山形大学 グリーンマテリアル成形加工研究センター プロジェクト教授 博士(工学) 大槻
安彦 氏
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【セミナープログラム】
1.プラスチック成形加工における伸長流動
1.1 伸長流動が現れる場面
1.2 伸長流動の形態(一軸,二軸,平面)
1.3 樹脂構造と伸長粘度
2.フィルム成形における伸長流動
2.1 ダイ内流動
2.2 フィルムキャスティング
3.2 インフレーション成形
3.ブロー成形における伸長流動
3.1 パリソン形成
3.2 ブローアップ
4.発泡成形における伸長流動
4.1 気泡形成
4.2 発泡体の延伸,破泡
5.射出成形における伸長流動
5.1 フローフロント
5.2 ゲート部糸曳
【質疑応答】
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【15:00〜16:10】
第4部 レオメーター,粘弾性測定機器による伸長流動の測定について
●講師 長岡技術科学大学 工学研究科 機械創造工学専攻 教授 工学博士 橋 勉 氏
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【セミナープログラム】
1.伸長流動の基礎
1.1 伸張変形とせん断変形
1.2 3種類の伸長流動
1.3 伸長流動を表すパラメータ
2.機械的手法による伸長粘度測定法
2.1 粘ちょうな物体に関して
2.2 流動性の高い物体に関して
3.光弾性計測による評価法
3.1 高速偏光解析法
3.2 光弾性則
3.3 高速偏光イメージングによる伸長流動解析
4.まとめ
【質疑応答】
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【16:20〜17:10】
第5部 成型加工における伸長粘度の測定方法とその応用
●講師 (株)アントンパール・ジャパン ビジネスユニットキャラクタリゼーション マネージャー 宮本
圭介 氏
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【講座の趣旨】
本セミナーではポリウレタンの劣化,分解のメカニズムについて触れ, それらの分析解析方法についてご紹介します。
ポリウレタンの特性により,使用される環境で劣化の機構にも違いがあります。 使用する分析装置でどのようなデータが取得でき,またそのデータか
ら何を考察できるのかを把握理解することが重要であり,分析 装置の原理やデータから読み取れる内容についても解説いたします。
本セミナーで,分析装置の原理の理解とともに,素材の劣化分解を 分子原子レベルでの視点で理解することが可能となります
【セミナープログラム】
1.レオロジーとは
1.1 粘弾性・レオロジーとは?
1.2 粘弾性体とは?
1.3 産業分野における粘度・粘弾性測定の活用例
2.レオロジー測定の基礎
2.1 レオロジー測定とは?
2.2 レオロジー測定の概要〜回転,振動,動的粘弾性(DMA)〜
3.回転(静的)測定の概要
3.1 回転測定の概要
3.2 回転測定の応用例
(1)ニュートン流動現象 〜粘度が変形速度によらず一定?〜
(2)シアシックニング 〜粘度が変形速度と共に上昇?〜
(3)シアシニング 〜粘度が変形速度と共に下降?〜
4.振動(動的)測定の概要
4.1 振動測定の概要
4.2 各種振動測定の応用例
(1)周波数分散測定と測定例 〜長期分散安定性〜
(2)ひずみ分散測定と測定例 〜内部構造の強さ〜
(3)温度・時間分散測定と測定例 〜熱硬化,ゲル化〜
5..動的粘弾性測定(DMA)の概要
5.1 動的粘弾性測定(DMA)の概要 〜変形方法,レオロジー変数の求め方〜
5.2 各測定治具の詳細と測定対象物,温度制御システムの選択
6.高分子材料のレオロジー評価
6.1 高分子材料のレオロジー評価 〜速度または時間の関数としての粘弾性,緩和時間〜
6.2 主な高分子材料の測定例〜ガラス転移温度 (Tg),時間,温度特性〜
6.3 粘着剤の粘着性,剥離性の評価 〜使用温度,タック性,ピール性〜
6.4 成形加工におけるレオロジー評価 〜成形条件の決定,成形不良の改善,伸長粘度〜
【質疑応答】
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