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<10:00〜11:30>
【第1部】マテリアルズ・インフォマティクス活用を見越した
研究データの統合・一元化の基礎基本
(株)日立製作所 技師、日立認定データサイエンティスト(プラチナ) 高原
渉氏
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【講師略歴】
材料工学専攻出身からメーカーでのMI(マテリアルズ・インフォマティクス)を活用した材料開発業務を経て、日立製作所に入社。現在は、多様な民間企業に向けたデータ分析・コンサルティング・講演・教育に携わるとともに、奈良先端科学技術大学院大学にてMI領域の研究活動も行っている。テーブル・画像・テキスト・材料構造・生成AIなど幅広い領域のデータ分析コンペティションに参加し、実践を通じた研鑽を積んでいる。Kaggle
Competitions Master。 また、社外講演や執筆活動などを通じて、MIの普及促進にも取り組んでいる。2021年度日本コンピュータ化学会論文賞(吉田賞)受賞。日本コンピュータ化学会
理事。有機合成化学協会「AIと有機合成化学」研究部会 幹事。著書「マテリアルズ・インフォマティクス
実践ハンドブック」(森北出版)。
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【講演趣旨】
近年、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は各所で導入・検討が進められています。一方で、現場の実課題においては、どうMIを適用していけばよいのかといった悩みもよく聞かれるようになりました。MI適用のためにはAIフレンドリーなデータが必要となりますが、現場では人間フレンドリーなそれぞれの形式で各種のデータが点在していることが多く、いわゆるサイロ化が問題となります。本セミナーでは、MIの教科書として執筆した著書「マテリアルズ・インフォマティクス実践ハンドブック」で扱うサンプルワークを題材に、MI適用を見越した研究データの統合・一元化の基礎基本をExcelでのハンズオンも交えながら解説いたします。
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【講演項目】
1.データ駆動型材料開発の変遷と現在地
2.データから考える材料開発現場における実務
3.材料開発の場面に存在するデータ
3.1 データの特性
(データが少ない、データに欠損値がある、データが偏っている)
3.2 各種データの概要
(テーブルデータ、画像データ、テキストデータ、有機材料データ、
無機材料データ、スペクトルデータ、時系列データ、など)
4.場面に応じた実験データの整形
(ハンズオンを含みます)
5.場面に応じた実験データの管理
(ハンズオンを含みます)
6.データから考える生成AI(Generative
AI)と従来AI(Traditional AI)の使い分け
【質疑応答】
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<12:15〜13:45>
【第2部】電子実験ノートによる究情報収集と実験データベースの構築
(株)レゾナック 計算情報科学研究センター 情報・インフォマティクスグループ
チーフ・リサーチャー 川原 悠氏
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【講師略歴】
ソフトウェア開発企業の勤務を経てレゾナックでは、自然言語処理を使った文書検索、AI技術を活用した手書き文書検索システムの開発・運用など、技術継承のための技術情報検索・活用システムの構築に従事してきた。2019年より電子実験ノートの社内適用チームの一員としてユーザへの教育や活用方法の提案、追加機能開発を行っている。
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【講演趣旨】
当社では社内情報の蓄積、共有、活用を目的として、2019年より電子実験ノートの適用を進めてきました。当初は技術情報の蓄積と共有を主なメリットとして電子実験ノートを推進してきましたが、利用が思うように進まない実態がありました。本講演では、普及活動の中で奏功した施策と、失敗例も交えてお話します。また、課題であった定量的実験データの保管について、試行錯誤の末に確立した『ELNデータパイプライン』手法もご紹介します。
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【講演項目】
1.電子実験ノートとは
1.1 電子実験ノートに期待した点
1.2 当社の電子実験ノートの推進体制
1.3 国内外の電子実験ノートの利用状況
2.研究現場における課題と電子実験ノート導入
2.1 当社の技術情報活用の課題
2.2 電子実験ノートの意義と目的
2.3 電子実験ノート(BIOVIA Notebook)の特徴
2.4 電子実験ノート以外のツールとの比較
3.電子実験ノート導入の課題と対応
3.1 導入後の課題とユーザの抵抗
3.2 機能追加による電子実験ノート価値向上
4.ボトムアップ・トップダウンアプローチ
4.1 上層部、現場研究者、知財担当者の利用動機
4.2 トップダウンまでの道のり
5.DXツールとしての電子実験ノート
5.1 当社が陥ったアンチパターン
5.2 電子実験ノートに求める役割
5.3 電子実験ノートを活用したMIの仕組み
5.4 電子実験ノート導入による定量的効果
6.データベースとデータレイク
6.1 それぞれのメリットとデメリット
6.2 トレードオフの落としどころとしてのELNデータパイプライン
【質疑応答】
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<14:00〜15:30>
【第3部】計算化学データ・実験データを活用したMIによる探索技術
(株)ダイセル デジタル戦略推進センター 事業化加速グループ 上席技師 兼子
祐氏
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【講師略歴】
2009年 名古屋大学大学院理学研究科学位取得(博
士(理学))
2009年 京都大学理学部 特別研究員
2011年 株式会社サムスン日本研究所 入社
2016年 株式会社ダイキン工業 入社
2017年 株式会社ダイセル 入社
2023年 同上に加え、分子科学研究所 民間等共同研究員
専門:計算化学、マテリアルズインフォマ ティクス
所属学会:理論化学会、日本化学会ケモインフォマティクス部会、JACI(公益社団法人新化学技術推進協会)コンピュータケミストリ分科会 幹事会所属
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【講演趣旨】
本講演は、計算科学および社外実験データベースを活用したマテリアルズインフォマティクス(MI)の基礎検討について、株式会社ダイセルの取り組みと事例を中心に紹介するものです。特に、データベース・シミュレーション・機械学習を組み合わせた材料開発の効率化、合成可能性を考慮した新規材料提案、社内外データの活用、そしてバイオマスやセルロースなど持続可能な素材への応用事例を通じて、MIの現状と課題、今後の展望について議論します。
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【講演項目】
1.自己紹介・会社紹介
1.1 発表者略歴
1.2 ダイセルの概要・沿革・事業内容
2.マテリアルズインフォマティクス(MI)の基礎
2.1 MIの使い道とワークフロー
2.2 実験・シミュレーション・MIの連携
2.3 社内外データベースの活用
3.社内・社外データを用いたMI事例
3.1 反応速度・電気特性・化学反応性などの予測モデル
3.2 量子化学計算・分子動力学計算データの活用
3.3 少数データと外部データのブレンドによる予測
4.分子シミュレーションとデータベースの連携
4.1 RadonPyコンソーシアムの利用
4.2 低分子・高分子材料設計への応用
4.3 クラスター分析・物性相関の評価
5.PoLyInfoデータベースの活用
5.1 データ抽出・マッピング事例
5.2 物性データベースの今後
6.社内事例紹介
6.1 溶媒探索・変異原性予測・ガラス転移温度予測
6.2 熱硬化性オリゴマー物性予測
7.セルロース溶剤探索の共同研究事例
7.1 分子シミュレーション×機械学習による溶解性予測
7.2 実験・計算の相関、溶解メカニズムの解明
8.有機半導体材料探索の共同研究事例
8.1 第一原理計算×機械学習による有機分子結晶構造形成予測
8.2 分子構造探索、結晶構造の予測
9.合成可能性を考慮した高分子データベース構築の共同研究事例
9.1 SMiPolyによる仮想高分子ライブラリ生成
9.2 既存高分子との比較・新規性評価
9.3 合成可能性・逆解析の課題と提案
10.まとめ・謝辞
【質疑応答】
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<15:45〜17:15>
【第4部】ハイスループット研究・実験データ生成の考え方・コツと
蓄積データの活用方法
コニカミノルタ(株) 技術開発本部 データサイエンスセンター マネジャー 成毛
章容氏
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【講師略歴】
2002年コニカ(現コニカミノルタ)株式会社入社。コーポレートR&D部門の材料分析セクションに所属し、全社の様々な製品・材料開発に携わる。2020年頃からは各種インフォマティクス技術との融合を進め、現在はMI、PIのためのハイスループット実験技術開発とデータプラットフォーム構築、材料分析技術開発と全社展開をミッションとするグループのリーダーを務める。専門は各種顕微鏡技術と高分子材料。工学博士。
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【講演趣旨】
本講演では、材料開発分野におけるハイスループット研究や実験データ生成の考え方、またその実践的な進め方について、コニカミノルタ社内での適用事例や国内外の企業・研究機関の事例を基に解説します。DX、マテリアルズインフォマティクス(MI)、生成AI等の技術導入による実験・研究プロセスの革新、ボトルネックの特定と自動化、データ管理や活用のためのプラットフォーム構築、機械学習やAIを活用した予測モデルの開発など、現場で実際に行われている様々な取り組みを紹介します。また、属人性や部門間の壁の克服、データ品質向上への工夫、社内外で直面する課題とその解決策についても、具体的な事例を交えながら解説します。
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【講演項目】
1.はじめに
1.1 材料開発現場におけるDX・MI・生成AI
1.2 価値の定量化「ケタが違う」を目指して
2.実験・研究データ生成とワークフロー
2.1 データ生成・蓄積・活用の3ステップ
2.2 キャラクタリゼーションとジェネレーション
3.ハイスループット実験の考え方と実装
3.1 なぜハイスループットが求められるのか
3.2 現場適用における各種の課題
3.3 ボトルネックの特定と自動化の進め方
3.4 インク・トナー開発事例に見る効果
4.データ蓄積・管理と分析基盤
4.1 データフォーマット統一と効率的な管理
4.2 社内外プラットフォーム活用のポイント
5.データ活用の最前線と今後の展望
5.1 機械学習・生成AIによる材料開発革新
5.2 ドメインナレッジとデジタル技術の融合
【質疑応答】
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