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【講座主旨】
化粧品容器の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートが主に使用されている。ポリマー状のPFASとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等が自動車、半導体、化学工業、航空宇宙、医療医薬等に広く使用されている。しかし、PFASの人の健康や環境への影響に関しては、未だ不明確のことが多いのが現状である。このような状況下、EUでは2025年2月公布の包装・包装廃棄物規則により食品包装にPFASを使用禁止とした。米国は、3M社やデュポン社が訴訟で莫大な保証金を支払い、マクドナルドはPFASを含む撥水紙の使用を禁止し、EPAの水道水の規制は一気に厳しくなった。国際がん研究機関は、2物質を発がん性物質としたが、日本はデータ不足として承認せず、水道水の基準値も変えていない。日本と欧米のPFASに対する対応には、大きな違いが見られる。PFAS系のポリマーは、完全な代替品は難しく、仮に代替品の開発が可能であるとしても、数年から数十年掛かると見られている。本講では、国内外におけるPFASの規制と評価状況、容器包装での規制とその影響、及び今後の見込みに関し解説する。
【講座内容】
1.化粧品容器の主な材料と製品例:PE、PP、PET、AS等
2.化粧品容器の法規制:ISO、日欧、欧州化粧品工業会
3.PFASを含むポリマーの例と用途
4.PFASの国内外規制の概要
5.国際がん研究機構の報告;2物質の発がん性評価
6.EUにおける規制動向
・欧州化学品庁の規制案
・包装・包装廃棄物規則による食品包装用使用禁止
・水道水の基準値改正
・パブコメ例(欧州各国、日本フッ素樹脂工業会等)
7.米国における規制動向
・EPAのPFAS戦略的ロードマップ
・水道水訴訟とメーカーの和解金(3M社等)
・基準値改正の動き
・加州等の規制
8.日本におけるPFAS問題と基準値見直し状況
・横田基地等の問題
・食品安全委員会の審議と見解
・環境省の審議と見解
・欧米と日本の対応の違い
9.日欧米の対応の相違と考え方の違い
10.まとめ:容器包装への影響見込みと今後の展望
【質疑応答】
◆◆講師プロフィール◆◆◆
専門分野:樹脂の製品安全、環境問題
略歴・活動・著書など:
日本包装技術協会 包装管理士講座 講師
(一社)日本食品包装協会 包装学校 講師
日本包装専士会 元会長
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