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【講演趣旨】
生成AIの進化は知財実務に革新をもたらしていますが、網羅性と正確性が求められるクリアランス調査への適用には適切な理解とリスク管理が不可欠です。本講演では、AIの基礎やツール選定基準から、母集団作成、クレーム対比といった実践的な活用フローまでを体系的に解説します。
特に課題となるハルシネーション対策や調査精度の検証手法も詳述します。AIを「有能な助手」として使いこなし、調査効率の向上と知財業務の高度化を実現するための具体的なノウハウを習得いただきます。
【講演項目】
0.イントロダクション
・講師自己紹介
・今の生成AIで「できること」と「まだできないこと」
・クリアランス調査における「見逃し(リスク)」とAIの親和性について
1.生成AIと特許調査ツールの基礎
1-1.生成AIの基礎知識
・大規模言語モデル(LLM)の仕組み(確率的な単語予測)
・汎用LLM(ChatGPT,Claude,Gemini)と特許特化型AIの違い
・セキュリティとデータ機密保持の基本ルール
1-2.AI特許調査ツールの概要と選定
・主要ツールの紹介:対話型AI(ChatGPT Enterprise,Gemini Advanced
等)
・検索拡張生成(RAG)搭載の特許DB(Patentfield,Amplified,などを例示)
・選定基準と使い分け方:
「アイデア出し・概念検索」に向くツール
「網羅的スクリーニング」に向くツール
「請求項(クレーム)対比」に向くツール
2.日常業務への導入(技術動向・先行技術)
2-1.技術動向調査への活用
・技術ランドスケープの作成補助
・膨大な特許公報からの「課題・解決手段」の自動抽出と要約
・新規用途探索(アイデアの壁打ち相手としてのAI)
2-2.先行技術調査(無効資料調査含む)
・検索クエリ(キーワード・分類)の生成支援
・類似特許のリストアップとランキング付け
・ポイント:クリアランス調査へ進む前の「基礎体力」としての活用法
3.特許クリアランス調査への生成AI活用プロセス ※本講座のメインパート、具体的なフローを解説
3-1.調査範囲の特定とAIによる補助
・調査対象製品(イ号物件)の仕様定義:AIによる構成要件分解の自動化
・検索式の作成支援:同義語、類義語の洗い出しにおけるAIの優位性
3-2.調査母集団の作成(スクリーニング)
・ノイズ除去の効率化:AIに「関係ない公報」を弾かせるプロンプト技術
・注意点:AIによる「足切り」のリスクと、人間が確認すべき境界線(AIを活用した特許スクリーニングのワークフロー図)
3-3.クレーム解釈と侵害判断の補助
・特許請求の範囲(Claim)の構成要件分節化
・「構成要件対比表(クレームチャート)」の自動生成
・充足・非充足の論理構築サポート
4.リスク管理と高度な分析
4-1.1.ハルシネーション(嘘・幻覚)対策
・なぜAIは特許番号や条文を間違えるのか
・対策技術:RAG(検索拡張生成)の重要性
・「Grounding(根拠付け)」機能の活用
・必ず一次情報(公報原本)へリンクさせるワークフロー
・「AIの回答を鵜呑みにしない」ダブルチェック体制の構築
4-2.調査結果の分析と報告書作成
・リスク特許のヒートマップ作成
・知財部から開発部へ:技術者にも伝わる「分かりやすい報告書」のAI生成
・回避案(設計変更案)のブレインストーミング
5.AIエージェントと知財業務の未来
5-1.生成AIを活用した知財業務の高度化
・単純作業からの解放と「戦略的業務」へのシフト
・社内知財チャットボットの構築事例
5-2.AIエージェントを活用した業務効率化
・AIエージェントとは:指示待ちではなく、自律的に調査・推論・報告を行うAI
・次世代のクリアランス調査:「今週公開された特許から、自社製品に関連するものを毎朝ピックアップして報告するエージェント」の可能性
・複数のAIエージェントによる模擬ディベート(侵害主張AI vs 非侵害主張AI)
まとめ
【質疑応答】
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