【この講座で学べること】
・木質バイオマスの主要構成成分であるリグニンの分布、生合成、化学構造、分析法などの基礎知識
・木質バイオリファイナリー
・リグニンの化学利用の展望と課題
【講座概要】
2050年カーボンニュートラルを目指す中、エネルギーや工業原料を化石資源からバイオマスへシフトさせていくことが求められています。再生可能で豊富な資源量から木質バイオマスへの関心が高まっています。木質バイオマスの利用の鍵はリグニンにあります。木質を基盤とするバイオリファイナリーを発展させるためには、リグニンとセルロースの効率的な分離技術、そしてリグニンの選択的な抽出技術が必須です。しかしながら、リグニンは他の天然高分子と異なり、その構造は極めて複雑かつ不均一であるため、分離・抽出の妨げとなっています。ここでは、木質バイオマスの基礎から将来展望について紹介します。
1.脱炭素社会構築に貢献する木質バイオマス利用
1.1 日本は森林大国
1.2 木質バイオマス利用による二酸化炭素削減効果
2.細胞壁中のリグニン
2.1 分布
2.2 呈色反応
3.植物の進化とリグニンの構造
3.1 裸子植物
3.2 被子植物
3.3 異常材(あて材)
4.リグニンの生合成
4.1 モノリグノールの生合成
4.2 モノリグノール配糖体の役割
4.3 モノリグノールの重合
5.リグニンの不均一形成の可視化
5.1 紫外線顕微鏡法
5.2 ミクロオートラジオグラフィー
6.リグニン化学構造の分析法
6.1 アルカリニトロベンゼン酸化
6.2 チオアシドリシス
7.TOF-SIMS(2次イオン質量分析)によるリグニンケミカルマッピング
7.1 原理
7.2 化学構造の可視化
7.3 水溶性化合物の分布の可視化(Cryo TOF-SIMS)
8.リグニンの利用
8.1 工業リグニンと天然リグニンの差異
8.2 分離・抽出技術
8.3 リグニンの化学修飾による高機能化
8.4 機能性材料への変換とその例
9.今後の展望
【質疑応答】
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