【習得できる知識】
Roll To Roll製造における乾燥現象の考え方、乾燥工程の設計方法、乾燥設備の違いと特徴、高分子膜の溶剤調湿、実験室から量産にスケールアップする際の留意点など。
【講座の趣旨】
機能性フィルムをRoll To Rollのウェット工程で製造する際、塗って乾かす工程が必ず必要になる。この中で、乾燥工程は膜質に大きく影響し、新製品開発をスケールアップして量産機で試作しても、少量品の品質性能を再現しにくい一因である。このセミナーでは「乾燥プロセスのイメージ作り」ができるよう、乾燥現象のツボを難し過ぎず解説する。基礎理論を紹介した上で、演習ツールを活用して、実際の乾燥条件の計算方法を紹介する。更に風ムラやベナールセルなど塗工品で発生する面状トラブルの原因と対策についても解説する。
1.はじめに
2.【基礎編】 乾燥設備と溶媒の寄与
2.1 乾燥風の供給方法
2.2 乾燥風の吹き出し方式
2.3 溶媒の寄与 (水と他の溶媒の違い)
2.4 乾燥に関わる物性値
2.5 水系の乾燥速度
2.6 塗膜の表面温度は湿球温度 (空気線図)
2.7 比エンタルピー(=潜熱+顕熱)
2.8 水と他の溶媒との違い (1) 蒸発潜熱
2.9 他の溶媒との違い (2)飽和蒸気圧と温度
2.10 各溶媒の空気線図
2.11 等湿球温度線
3.定率期間と減率期間
3.1 限界含水率と固形分濃度
3.2 乾燥中の膜内の溶媒移動
4.【演習】 乾燥計算の練習 (第1ラウンド)
5.減率乾燥速度
5.1 簡易計算法 (乾燥係数 N=1/2〜2/3)
5.2 乾燥係数をN=1にすると?(収束しない)
5.3 減率乾燥を実測で見積もるために
5.4 減率乾燥を実測で見積もる手順
5.5 水系の限界点・仮想点・乾燥点 (PVA水溶液)
5.6 単溶剤系の乾燥速度 (親水/疎水性と湿度)
5.7 2成分系の減率乾燥の挙動
5.8 共沸混合物の乾燥
6.乾燥設備
6.1 一般的な構成 (予熱・加熱・絶乾・冷却)
6.2 乾燥方式と伝熱係数
6.3 各方式の能力比較
6.4 乾燥効率の支配因子 (噴流)
6.5 噴流の距離と減衰
6.6 多孔板と二次元ノズル
6.7 幅要因 (どこで排気するか?)
6.8 風の分配と風向 (傾斜ノズル)
6.9 フローティング (浮上系)
7.【演習】 乾燥方式と必要な炉長 (第2ラウンド)
8.乾燥起因の面状トラブルと対策
8.1 ベナールセル(ゆず肌)
8.2 ベナールセル(マランゴニ効果に影響する物性)
8.3 ベナールセル (マランゴニ数による診断)
8.4 ハジキ (メカニズム)
8.5 クリーン化による異物対策
8.6 クリーン度を維持する換気と風速
8.7 塗工室の換気が誘発する風ムラ
8.8 レベリングの理論(Orchard 式)
8.9 塗工室の換気による風ムラのレベリング
8.10 塗工室のクリーン化に必要な換気頻度
8.11 工程クリーン度の診断
8.12 工程クリーン度の診断例
8.13 塗工室と前後ゾーンの圧力バランス、気流シミュレーション
8.14 塗工室前後の差圧の影響
8.15 気流の履歴
8.16 乾燥初期の風ムラ
8.17 下向き塗工面による風ムラ対策 (密度流)
8.18 レベリング (基板の凹凸ムラ)
8.19 乾燥中の発泡トラブル対策
8.20 白化現象の原因と対策
9.調湿(膜中の残留溶媒の調整)
9.1 残留溶媒の調整 (絶乾と調湿)
9.2 調湿時の含水率履歴
9.3 調湿曲線の表現方法
9.4 平衡含水率と湿度
9.5 調湿の支配因子(風速に依存せず、湿度と温度に依存)
【質疑応答】
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