【講座の趣旨】
近年、製品開発の品質向上の重要性が高まる中、新たな改良発明の一つとして、数値限定発明への関心が高まっています。また、人工知能の普及に伴い、数値限定に基づく改良発明が次々に生み出され、関連する特許出願も増加する傾向にあります。
このような数値限定発明について実用化を推進するためには、特許戦略の構築が必要不可欠です。すなわち、広くて強い特許を取得し、有効に活用することが重要であり、その結果、数値限定発明を事業活動に最大限に活かすことができます。
本講演では、このような視点から、数値限定発明の特許戦略について説明し、今後の課題と対応策について解説します。
◆習得できる知識
1.数値限定発明の基本的な考え方について理解し、そのための実務を習得する。
2.数値限定発明の特許出願と特許調査について理解し、実演により実務を習得する。
3.数値限定発明の特許要件・記載要件について理解し、審査事例についても習得する。
4.数値限定特許の活用方法について理解し、最近の裁判例についても習得する。
5.数値限定特許に関する最適な特許戦略を策定するためのスキルを習得する。
【講座内容】
1.数値限定発明の重要性
1-1.数値限定発明の意義
1-2.数値限定発明と特許の関係
1-3.数値限定特許が競合他社に与える影響
1-4.数値限定と機能限定の判断基準
2.数値限定発明の特許出願
2-1.数値限定発明の認定
2-2.数値限定発明の特許クレームの書き方
2-3.数値限定発明の明細書の書き方
2-4.数値限定発明の特許クレームの作成演習(ケーススタディ)
3.数値限定発明の特許調査
3-1.数値限定発明の特許調査の基本事項
3-2.数値限定発明の検索式の作り方
3-3.周知・慣用技術の取り扱い
3-4.数値限定発明の特許調査の実演(ケーススタディ)
4.数値限定発明の特許審査
4-1.新規性、進歩性の判断基準(臨界的意義の要否など)
4-2.記載要件の判断基準(パラメータ発明など)
4-3.拒絶理由への対応方法(設計事項の抗弁など)
4-4.最近の裁判例(審決取消訴訟)からの教訓
5.数値限定特許の権利範囲
5-1.数値限定特許のクレーム解釈
5-2.パラメータ特許の権利範囲の留意点
5-3.他社特許を侵害しない方法(先使用権を含む)
5-4.最近の裁判例(特許侵害訴訟)からの教訓
6.数値限定特許の活用方法
6-1.数値限定発明に関する登録特許の最近の傾向
6-2.諸外国の登録特許の事例との比較(米国、欧州、中国など)
6-3.事例を踏まえた最適な明細書・クレームの提案
6-4.数値限定特許の特許戦略の構築に向けて
【質疑応答】
略歴
1990年4月〜2009年3月: 特許庁(特許審査官・審判官)
・2009年3月まで、医薬品・食品、有機化学などの特許審査官・審判官を担当した。
・その間、米国ハーバード大学、政策研究大学院大学(助教授)等に出向した。
2009年6月〜現在: 青山特許事務所・弁理士(現在に至る)
・現在、日本弁理士会の研修講師「審判の実務」(実務修習)を担当している。
2019年7月〜現在: 知的財産大学院協議会・会長(現在に至る)
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