【講演ポイント】
半導体、LCD等の電子デバイス製造では、成膜、パターン作製 (レジスト塗布、露光、現像)
、エッチング、レジスト剥離、洗浄等のプロセスを複数回繰り返すことにより、基板上に微細素子がパターンニングされたトランジスタが形成される。これらの工程はリソグラフィー工程と呼ばれ、おおよそ20回から30回繰り返されることになる。また、レジスト剥離工程においては、硫酸、過酸化水素、アミン系有機溶剤など環境負荷の大きい薬液を現状では大量に使用している。特に、イオン注入工程を経たレジストはレジスト表面が変質しており除去が非常に困難である。
日本の今後の半導体について、電子デバイス製造メーカで現場でいた者の視点でも講演したい。
本講演では、リソグラフィー工程の概要を紹介するとともに本工程において用いられるレジスト材料(感光性ポリマー)そのものについて解説するとともに、レジスト剥離工程についても従来の剥離技術、及び新規な環境に優しいレジスト剥離
(除去) 技術について解説する。イオン注入工程を経たレジストの化学構造や除去技術についても紹介したい。
レジストについては、ノボラック系ポジ型レジスト、及び化学増幅系3成分(ベース樹脂、溶解抑制剤、酸発生剤)ポジ型レジストのそれぞれの化学成分とレジスト特性との関係について解説する。レジスト現像アナライザー(RDM)装置を用いたデータについても紹介する。
レジスト剥離(除去)については、環境に優しい新規な技術として、活性種として水素ラジカル、湿潤オゾン、ファインバブル水を用いた技術について解説する。
【プログラム】
1.感光性レジストの基礎とリソグラフィー工程の解説
1-1 感光性レジストとは
1-2 リソグラフィー工程について
1-3 フォトレジストの塗布、露光、露光後ベーク (PEB)、現像工程の概要
2.半導体、電子デバイスの進化とレジスト材料の設計とその作用メカニズム
2-1 半導体、電子デバイスの進化とレジスト材料の設計
2-2 レジストの基本原理
2-3 レジストの現像特性
2-4 レジストとSi基板との密着性について
3.ノボラック系ポジ型レジストの材料設計
3-1 レジスト現像アナライザを用いた現像特性評価
3-2 ノボラック系ポジ型レジストの分子量とレジスト特性の関係
3-3 ノボラック系ポジ型レジストのプリベーク温度を変えたレジスト特性評価
3-4 PACのエステル化率を変化させたノボラック系ポジ型レジストのレジスト特性
3-5 ノボラック系ポジ型レジストの現像温度とレジスト特性との関係
4.化学増幅ポジ型レジストの材料設計
4-1 化学増幅ポジ型3成分(ベース樹脂、溶解抑制剤、酸発生剤)レジストのベース樹脂とレジスト特性
4-2 化学増幅ポジ型3成分レジストの溶解抑制剤とレジスト特性
4-3 化学増幅ポジ型3成分レジストの酸発生剤とレジスト特性
4-4 EUVレジストへの展開
4-5 i線厚膜レジストへの展開
5.現行のレジスト材料の考察と課題
6.EUVレジスト(メタルレジスト)の開発動向と
7.PFAS規制への対応など、レジスト材料の今後の展望
8. 新規なレジスト除去技術
8-1 水素ラジカルを用いたレジスト除去技術
8-1-1 原子状水素によるレジスト除去速度の向上
8-1-2 半導体プロセスにおける各種レジストの除去
8-1-2-1 イオン注入レジストの除去
8-1-2-2 化学構造の異なるレジストの除去
8-1-3 レジスト除去時の下地Si基板へのダメージ評価
8-1-3-1 サリサイド構造の形状変化について
8-1-3-2 基板の表面状態の劣化について
8-2 湿潤オゾンを用いたレジストの除去技術
8-2-1 湿潤オゾン法とは
8-2-2 化学構造の異なるポリマーの除去
(ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、ポリメタクリル酸メチルの例)
8-2-3 湿潤オゾンによるイオン注入されたレジストの除去
8-3 ファインバブル水を用いたレジストの除去技術
【質疑応答】
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