【講座の趣旨】
ガラスは、透明で、燃えにくく、経年劣化もほとんどない上に任意の形状に切断できるという特徴をもったすばらしい素材です。その組成や構造を変えることにより、希望の特性を得ることも可能です。一方、ガラスは代表的な脆性破壊を示す材料でもあり、安全性を検討する上で破壊現象の把握は極めて重要です。
ガラスの破壊は、大きくは機械的負荷に基づく破壊と熱的負荷に基づく破壊に分けられ、機械的負荷と熱的負荷の混合モードに基づく破壊もあります。また、板ガラス商品としては多くのガラス商品が市場に出ていますが、それぞれの破壊現象はそのガラス商品によっても大きく異なります。さらには、応力緩和に関する知見も大きく変化してきています。
ガラスの破壊現象を理解する上で上述の知見を把握することは極めて重要です。しかし、ガラスは現在においても不明の点が多く、ガラスという材料の破壊特性を的確に把握することは簡単ではありません。
応力緩和現象も含めた機械的破壊と熱的破壊について、ガラスの破壊に対してどのように考えるべきかという観点でお話します。これらの情報を得ることにより、ガラスに携わっている研究者や技術者に加え、品質管理や他の関連部門の方々にも大いに役立つことを願っています。
1.ガラスと破壊の基礎
1-1 板ガラスと破壊
1-2 主な板ガラス商品
1-3 ガラス強度とガラス組成
1-4 ガラスの破壊モード
1-5 ガラスの破壊と表面欠陥
2.機械的破壊現象(静的破壊)
2-1 ガラスの破壊
2-2 圧縮応力と引張応力
2-3 表面欠陥と雰囲気の影響
2-4 主なガラス強度試験法
3.機械的破壊現象(動的破壊)
3-1 動的負荷(Safetyレベル)
3-2 動的負荷(Securityレベル)
3-3 クラックの高速伝播
3-4 反射波の影響
4.熱的破壊現象
4-1 熱的負荷とガラス破壊
4-2 ガラスの熱的強度測定法(熱割れ試験,水中投下法)
4-3 新しい強度測定法(反力試験法)
5.板ガラス商品の破壊現象
5-1 フロートガラスの破壊現象
5-2 網入りガラスの破壊現象
5-3 合わせガラスの破壊現象
5-4 熱強化ガラスの破壊現象
5-5 化学強化ガラスの破壊現象
6.板ガラスの破壊と応力緩和
6-1 歪点と応力緩和
6-2 Quasi-static試験
6-3 室温近傍での応力緩和
【質疑応答】
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