【講座の趣旨】
電子顕微鏡は高い分解能にて微細構造を観察することができるが機器の性質の面より、試料の準備-観察までを実行できる技術が普及していない。本講座においては生物試料を対象とした試料調製の基礎について、実際に生じるエラーを交えながら学習する。
【習得できる知識】
・生物試料を対象とした電子顕微鏡(SEM,TEM)の試料調製の基礎
・教本に掲載されている推奨方法はなぜ正しいのか、推奨方法を外れた際どのような結果が得られるのかを実際の結果を交えて学ぶことでエラーが生じた際の一助となる。
第1部 電子顕微鏡の基礎
1.電子顕微鏡とは
1.1 透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)
1.2 装置の構成と原理
・電子銃
・電子レンズ
・コントラスト
2.生物試料を対象とした基本的な試料調製方法
2.1 TEMの試料調製
・試料細切
・前固定
・後固定
・脱水
・樹脂包埋
・超薄切(ウルトラミクロトームの使い方)
・コーティング(カーボン真空蒸着)
・二重染色
2.2 SEMの試料調製
・乾燥(臨界点乾燥、t-ブチル乾燥)
・コーティング
2.3 ネガティブ染色法
第2部 生物試料を対象とした試料調製におけるエラーと観察像
1.TEM試料調製
1.1 前固定
推奨方法:固定液(2%GA/0.1M
リン酸緩衝液 pH7.4)に浸漬し4℃ o/n
逸脱した手法
・高pH、低pH条件の場合
・高張液、低張液の場合
・低温、高温条件の場合
・長時間、短時間固定の場合
・電顕用でないGAを使用した場合
・GA濃度適切でない場合
・固定中に試料が凍結した場合
・GAのみPFAのみ(後固定なし)で試料調製した場合
・ホルマリン固定(中性、10%水溶液)にて試料調製した場合
・酸素飽和固定液を用いた場合
・調製後長期保存固定液を使用した場合
付録
・GA固定後試料の安定性をGA固定後にpH変化、温度変化を実施し観察する
・乾燥してしまった試料への固定液の添加した場合の像を観察する
1.2 後固定
推奨方法:2%Os水溶液
2 hr
・Osのみ固定(前固定なし)の場合
・高張条件のOs固定液を使用した場合
・長時間、短時間固定の場合
付録
・Ruの使用した場合
1.3 脱水
推奨方法:30,
50, 70, 90, 100×3回 EtOH処理(30, 50%は低温度、短時間)
・脱水剤を変更した場合(メタノール, アセトン, 酸化プロピレン)
・低濃度エタノール(30, 50%)を室温、長時間脱水した場合
・100%エタノールのみで脱水した場合
・70, 100%EtOHでo/nした場合
1.4 樹脂包埋
推奨方法:酸化プロピレンを用いて置換×3→エポキシ樹脂にて包埋(重合60℃)
・室温重合の場合
・加速剤過剰の場合
・主剤過剰、過少の場合
1.5 超薄切
推奨方法:ダイヤモンドナイフを用いて超薄切(80-90
nm)
・ヒストナイフによる超薄切
・ガラスナイフによる超薄切
・超超薄切(>30 nm)切片による像
・厚切り切片(<200 nm)切片による像
・チャター像
・逃げ角を変更した場合
・凍結超薄との比較(材料、重合不良ブロック)
1.6 二重染色
推奨方法:2%酢酸ウラニル水溶液(15分)→鉛染色液(5分)
・未染色像
・鉛→ ウランの染色の場合
・ウランのみ、鉛のみ染色した場合
・鉛を長時間染色した場合
・ウランを長時間染色した場合
・2%リンタングステン酸水溶液を切片染色した場合
1.7 カーボン蒸着
推奨方法:規定真空度に達した後、蒸着処理
・低真空条件で蒸着した場合
・過剰蒸着した場合
・裏側からの蒸着した場合
2.SEMの試料調製
2.1 乾燥
推奨方法:酸化プロピレンに置換×3→臨界点乾燥 t-ブチルアルコールに置換×3→t-ブチルアルコール凍結乾燥
・通常の乾燥と試料調製による乾燥の見え方の違い
・t-ブチルアルコールの乾燥ゴミ
2.2 コーティング
推奨方法:オスミウムコーティング(30 nm程度)
・過剰なオスミウムコートの場合
・カーボンコーティングとの比較
3.ネガティブ染色
推奨方法: 試料アプライ(10秒)-洗浄-2%酢酸ウラニル水溶液(10秒)、
試料アプライ(10秒)-洗浄-2%リンタングステン酸水溶液(10秒)
・濃いサンプルを観察した場合
・pHを変更した倍(リンタングステン酸水溶液)
・試料アプライ時間を延長した場合
・染色時間を延長した場合
・染色時間を短縮した場合
・染色剤の濃度を変更した場合
・洗浄の有無
・ウラン染色液とリン酸緩衝液が反応した場合
【質疑応答】
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